黒ナンバーで開業OK!トラック1台でも運送業を始められる方法とは?

トラック1台でも運送業は始められるのか?独立や副業を考える方にとって、最初の一歩となるのがこの疑問ではないでしょうか。
実際、緑ナンバーのような「一般貨物運送業」では最低5台の車両が必要であり、個人で始めるには高いハードルが存在します。
しかし一方で、黒ナンバーを使った「軽貨物運送業」であれば、1台からでもスタート可能です。
最近では個人事業主として働くフリーランスドライバーや、副業で軽貨物配送にチャレンジする人も増加しています。
配送マッチングアプリやネットワークの発達により、1人・1台で始めやすいビジネスモデルとして注目されているのです。
この記事では、トラック1台で運送業を始める現実と可能性、黒ナンバーで開業する手順や収支の目安、将来的な緑ナンバー取得までの道筋をわかりやすく解説します。
未経験でも開業はできるのか?リスクや注意点は何か?その答えを探る手助けになれば幸いです。
目次
トラック1台で運送業は始められる?
個人で運送業を始めようと考えたとき、「トラック1台で本当に開業できるのか?」という疑問を持つ方は多いでしょう。
結論から言えば、始め方によって可能なケースと不可能なケースがあります。特に、一般貨物運送業(緑ナンバー)と軽貨物運送業(黒ナンバー)では、求められる条件が大きく異なります。
このセクションでは、両者の違いとトラック1台で可能な運送業の形について詳しく解説します。
結論、一般貨物運送業では1台開業は不可
一般貨物自動車運送事業、いわゆる「緑ナンバー」を使用する本格的な運送業では、トラック1台のみでの開業はできません。
国土交通省が定める要件により、最低5台以上の営業用車両の保有が必須とされているためです。
この制度の背景には、貨物輸送の安定性や社会的責任、運行管理体制の整備が求められているという事情があります。
そのため、1人で小規模に始めたい場合には、緑ナンバーの一般貨物運送業は現実的ではありません。
緑ナンバー取得には5台以上の車両が必要
緑ナンバーの取得には、5台以上の車両を確保することに加え、運行管理者や整備管理者の選任、営業所や休憩施設の確保など、さまざまな条件を満たさなければなりません。
具体的な条件としては以下のようなものがあります。
- 営業車両が5台以上あること
- 事業用車両を保管する車庫があること
- 運行管理者・整備管理者の資格を持つ人材の配置
- 財務基盤(例えば運転資金として一定額の自己資金があること)
これらの要件を個人で初めから満たすのは困難であり、法人化を前提とした中規模以上の事業モデルが求められます。
「黒ナンバー(軽貨物)」なら1台でも開業可能
一方で、軽貨物運送業(黒ナンバー)であればトラック1台から開業が可能です。
これは貨物軽自動車運送事業という区分で、届け出のみで始められる個人事業としてのハードルが非常に低いのが特徴です。
黒ナンバー車両とは、主に軽バンや軽トラックなどの軽自動車に営業用途の登録を行った車両のこと。
ヤマト運輸やAmazonなどの業務委託で配達を行うドライバーの多くが、この形態で仕事をしています。
黒ナンバーでの開業に必要なステップは以下の通りです。
- 陸運局への黒ナンバー申請(届け出)
- 営業ナンバー付き車両の用意
- 個人事業主として税務署に開業届を提出
- 自賠責・任意保険・貨物保険などの保険加入
このように、低コストかつ小規模で始められる柔軟性の高さが、黒ナンバー開業の最大の魅力です。
▽個人で始めるなら黒ナンバー一択
トラック1台で運送業を始めたいと考える方にとって、一般貨物運送業(緑ナンバー)は条件的に難易度が高く、現実的ではありません。
それに対して、黒ナンバーを活用した軽貨物運送業なら、1台・1人からでも開業が可能であり、初期費用や手続きのハードルも比較的低く抑えられます。
副業から始めたい人、独立を目指す人、まずはスモールスタートしたい人には、黒ナンバーでの運送業が最も適した選択肢と言えるでしょう。
次のセクションでは、実際に黒ナンバーで開業する手順や必要な届け出について詳しく解説します。
軽貨物運送業で開業する方法とステップ
トラック1台でスタートできる運送業の代表格が「軽貨物運送業(黒ナンバー)」です。
これは一般貨物運送業とは異なり、国の許可ではなく「届け出制」のため、必要書類を整えれば個人でもすぐに始められるのが魅力です。
このセクションでは、黒ナンバー取得から開業届の提出、車両準備までのステップを順を追って解説します。
スムーズに開業手続きを進めるために、必要な準備やポイントを押さえておきましょう。
黒ナンバー取得の流れと必要書類
まず、軽貨物運送業を始めるには、車両に「黒ナンバー」を取得する必要があります。
これは「貨物軽自動車運送事業」の届け出をすることで交付される営業用ナンバープレートで、一般的な白ナンバーとは用途が異なります。
黒ナンバー取得までの基本的な流れは以下の通りです。
- 運輸支局での事業届け出
- 必要書類の提出
- 黒ナンバー交付の申請・取付け
黒ナンバーの取得に必要な書類の例は以下の通りです。
- 事業用自動車等連絡書(陸運局の様式)
- 使用者の印鑑証明
- 自動車車検証(原本)
- 任意保険(事業用に対応しているもの)の証明
- 自賠責保険証明書
- 軽自動車届出済証
これらを管轄の運輸支局に提出し、審査が通れば黒ナンバーが交付されます。
この時点で営業用軽貨物車として登録されたことになり、正式に運送業として稼働可能になります。
個人事業主として開業届を出す方法
黒ナンバーが取得できても、税務的な手続きが整っていなければ仕事はできません。
軽貨物運送業を行うには、個人事業主として「開業届」を税務署に提出する必要があります。
手続きの概要は以下の通りです。
- 最寄りの税務署にて「個人事業の開業・廃業等届出書」を提出
- 必要に応じて青色申告の申請書も同時に提出
開業届は提出義務がある書類であり、これを行わないまま収入を得ると「無申告」となり、後の確定申告でトラブルになる恐れもあります。
また、青色申告を選択すれば最大65万円の控除も可能となるため、開業届と合わせて提出するのがおすすめです。
書類は国税庁のホームページからダウンロード可能で、郵送でも受け付けています。
提出後は開業届の控えが返送されるので、大切に保管しておきましょう。
営業ナンバー付き車両を用意する選択肢
軽貨物運送業を始めるには、当然ながら営業用の車両(=黒ナンバー付き車両)が必要です。
この車両の用意には、以下の3つのパターンがあります。
- 自分で車両を購入して黒ナンバーを取得する
- 黒ナンバー取得済みのリース車両を利用する
- 業務委託先の会社から貸与を受ける
それぞれのメリット・注意点は以下の通りです。
- 購入 – 自分の所有となるため自由度が高いが、初期費用がかかる。
- リース – 初期投資を抑えられ、黒ナンバー取得済みなので手続きも簡略化。ただし月額費用が発生。
- 貸与 – 委託契約先によっては車両貸与制度があり、コスト面で有利。ただし契約内容に制限が出やすい。
特に開業当初はリース車両でリスクを抑える方法が人気です。
まずは安定収入を得ながら、のちに自前の車両へ切り替えるなど、事業フェーズに応じた選択が可能です。
▽ステップを押さえれば開業はスムーズ
軽貨物運送業は手続きの簡便さと低コストという面で、非常に始めやすいビジネスです。
特に黒ナンバーの取得と開業届の提出は明確な手順を踏めば短期間で完了します。
また、営業車両の調達も複数の手段が用意されており、ライフスタイルや予算に応じた柔軟な運営が可能です。
「まずは1台から」始めたい方にとって、軽貨物運送業は副業・本業を問わず実践しやすい選択肢といえるでしょう。
トラック1台開業で得られる収入と必要経費
軽貨物1台で運送業を始めた場合、どのくらいの収入が見込めるのか?また、どのようなコストがかかるのか?は、多くの人が最も気になるポイントでしょう。
とくに個人で開業する際は、毎月の収支シミュレーションが事業の安定運営に直結します。
このセクションでは、日々の配達件数と単価から算出した売上の目安と、燃料や保険などのランニングコスト、車両の購入・リースにかかる初期費用までを具体的に解説します。
黒ナンバー1台で実現可能なビジネスモデルの現実を、しっかり把握しておきましょう。
1日の配達件数・単価の目安と売上シミュレーション
まず、軽貨物運送業の1日の配達件数と単価の目安を見ていきましょう。
- 配達件数(宅配の場合) – 1日80〜120件
- 単価(1件あたり) – 150〜200円
仮に「1日100件 × 180円」で稼働した場合、1日の売上は18,000円。これを月25日稼働で換算すると、月商は約45万円となります。
ただし、以下のような委託契約のタイプやエリアによっても大きく変動します。
- 個建て(出来高制)契約 – 配達件数×単価がそのまま収入に
- 日額保証型契約 – 固定で1日12,000〜16,000円程度
- スポット便・チャーター便 – 距離や時間に応じて単価設定、1日2〜3万円も可能
このように、収入は「案件の種類×稼働日数」により大きく差が出ます。
自身の生活スタイルに合わせて、どのタイプで働くかを選択することが重要です。
燃料代・保険・修理などのコスト一覧
収入だけでなく、毎月の固定・変動費用も見逃せません。
以下に、軽貨物運送業を1台で行う際に必要となる主な経費をリストアップします。
項目 | 月額の目安 | 補足説明 |
燃料代 | 約30,000〜50,000円 | 稼働距離により上下(燃費15km/L程度) |
任意保険 | 約10,000〜15,000円 | 事業用契約が必須 |
自賠責保険 | 約1,000円 | 年払いに換算して月額化 |
修理・整備費 | 約5,000〜10,000円 | オイル交換やタイヤ交換等 |
通信費(アプリ) | 約3,000円 | 業務委託アプリ、スマホ通信など |
駐車場代 | 約10,000〜20,000円 | 地域差あり |
合計すると、月あたり約60,000〜100,000円程度の運営コストが想定されます。
また、確定申告に備えた会計ソフト(月1,000〜2,000円程度)なども検討すべき項目です。
収入を正しく把握し、無駄な出費を抑える工夫が収益性アップのカギとなります。
黒ナンバー車両のリース・購入の費用比較
開業時に必要な車両については、「購入」か「リース」かで大きく費用構造が異なります。
それぞれの特徴とコストを比較してみましょう。
- 購入の場合
- 中古軽バン相場 – 30万〜80万円前後
- 新車の場合 – 100万〜150万円以上
- 初期コストは高いが維持費は安い
- 資産として残る反面、メンテナンスリスクもあり
- リースの場合
- 月額相場 – 35,000〜55,000円程度(保険・整備込みも多い)
- 初期費用を抑えて開業可能
- 短期契約が可能なプランもある
- 返却義務・走行距離制限に注意
開業初期は、リスクを抑えられる「リース車両」から始める人が多数です。
月額固定費がネックにならないよう、1日の売上でカバーできるかどうかを試算することが大切です。
▽収入とコストを見極めて無理のない運用を
軽貨物1台で開業する場合、やり方次第で月商40〜60万円の売上も十分可能です。
一方で、燃料・保険・整備などの経費が毎月5〜10万円かかるため、利益をしっかり確保するには計画的な運営が不可欠です。
黒ナンバー取得や車両準備、委託先の選定によっても収支は大きく変動します。
シミュレーションをもとに月収と支出のバランスを考慮した上で開業準備を進めることが成功への第一歩です。
軽貨物運送業の仕事の探し方と稼働方法
黒ナンバーを取得し、車両も用意できたら次のステップは「どうやって仕事を見つけ、どのように稼働を始めるか」です。
個人で始める軽貨物運送業では、企業に雇われるのではなく業務委託やフリーランスの形で案件を受けるのが一般的です。
このセクションでは、業務委託として働くための基本知識から、マッチングアプリ・求人サイトの活用法、宅配やチャーターなどの仕事内容の違いまでを整理して解説します。
収入や働き方の選択肢に大きく関わる重要な情報をここで押さえておきましょう。
業務委託ドライバーとして働くには?
軽貨物運送業における一般的な働き方は、「業務委託ドライバー」です。
これは会社員ではなく個人事業主として運送会社と契約し、案件単位または日単位で業務を請け負う形式です。
業務委託で働くメリットは以下のとおりです。
- 自分の都合で働く日数・時間を調整できる
- 報酬は成果(件数や距離)に応じて増やせる
- 複数社と契約して収入源を分散できる
一方で、事故時の自己責任、報酬の不安定さ、社会保険の自己負担なども伴います。
業務委託で働くには、以下のような流れでスタートします。
- 黒ナンバー車両を用意する
- 開業届を出して個人事業主になる
- 運送会社やマッチングサービスと契約する
- 初回研修や同乗教育を受けて業務開始
「雇用」ではなく「契約」なので、自分で契約条件(報酬体系や拘束時間)をしっかり確認し、無理のない働き方を選びましょう。
マッチングアプリや求人サイトの活用法
仕事を探す際には、運送会社に直接応募する方法のほかに、マッチングアプリや求人サイトの利用が主流です。
以下に代表的なサービスを紹介します。
求人サイト例
- ドラEVER – ドライバー専門求人。日額や歩合の条件で検索可能
- トラックファイブ – 業界特化型で非公開案件も多数あり
- Indeedやエン転職などの総合サイトでも委託案件が掲載
マッチングアプリ例
- PickGo(ピックゴー)
- ハコベル
- GOANDDO
これらのサービスでは、スマホでその日だけのスポット便や、定期案件を簡単に検索・受注できます。
登録審査や実績に応じた評価制度もあるため、初心者は小口配送などから経験を積むのがおすすめです。
また、SNSやLINEグループでのドライバー募集も広がっており、人脈や紹介から仕事を得るケースも増えています。
宅配便やチャーター便など仕事内容の違い
軽貨物運送業とひと口に言っても、その仕事内容にはいくつか種類があり、報酬や稼働スタイルに影響します。以下に主な業務の違いをまとめます。
宅配便(個建て・エリア固定)
- 特徴 – ECや大手宅配会社の荷物を配る
- 件数報酬制(例:1件150〜200円)
- 1日80〜120件が目安
- 稼働時間が長く体力的にハード
チャーター便(ルート固定・日額報酬)
- 特徴 – 企業の定期配送やルート便など
- 日給制が多く、安定収入が得られやすい
- 荷量は少なめで、比較的落ち着いた業務
- 早朝や深夜の時間帯も多い
スポット便(短時間・単発案件)
- 特徴 – 企業や個人の急な配送依頼
- 距離や時間によって高単価の案件あり
- 時間の自由度が高く副業にも向く
自分の生活スタイルや目標収入に応じて最適な仕事内容を選ぶことが重要です。
宅配でガッツリ稼ぐもよし、チャーターで安定を取るもよし、スポットで自由に働くのも選択肢のひとつです。
▽仕事の選び方で収入と働き方が大きく変わる
軽貨物運送業は、自分のスタイルに合わせた柔軟な働き方が可能です。
しかし、自由である分、仕事の探し方や選び方によって収入も労働環境も大きく変わるのが現実です。
業務委託として働くには、信頼できる契約先を選び、報酬や拘束条件をしっかり確認することがカギになります。
また、マッチングアプリや求人サイトをうまく使えば、初心者でもスムーズに案件を獲得できます。
最後に大切なのは、「どんな働き方が自分に合っているのか」を明確にし、自分の時間と収入のバランスを意識した選択をすることです。
安定か自由か、量か質か、その答えはあなたの目標次第です。
将来的に緑ナンバー取得を目指すには?
黒ナンバーで軽貨物運送業を始めた方の中には、いずれ一般貨物運送業(緑ナンバー)へのステップアップを考える人も少なくありません。
緑ナンバーを取得することで、大手物流会社からの案件を請け負えるようになり、取引先の
幅や単価も大きく広がります。
ただし、緑ナンバーを取得するには国の厳格な許可基準があり、個人のままでは申請すらできないのが現実です。
このセクションでは、法人化の手続き、車両台数や人員体制、信頼される運送体制の整備について段階的に解説していきます。
法人化や車両5台体制への移行ステップ
緑ナンバー(一般貨物自動車運送事業)の取得にあたって、まずクリアすべき前提条件が「法人格を持っていること」と「最低5台以上の営業車両を保有していること」です。
そのため、個人事業として軽貨物運送をスタートした場合は、次のようなステップで移行を目指すことになります。
ステップ1:法人設立(合同会社または株式会社)
税理士や司法書士に依頼して法人登記を行い、法人としての事業基盤を整えます。
ステップ2:車両を5台以上用意する
自社で所有しても、リース契約でもOKですが、すべてが営業用(貨物用)車両であることが条件です。
ステップ3:車庫・営業所・休憩所の確保
いずれも用途地域や駐車台数に適合した物件でなければなりません。
所在地ごとに要件が異なるため注意が必要です。
このように、緑ナンバー取得の第一関門は「法人と車両の体制を固めること」です。
時間も資金もかかりますが、その先には大きなビジネスチャンスがあります。
運行管理者や整備管理者の選任が必要
法人と車両が揃ったからといって、すぐに緑ナンバーが取れるわけではありません。
次に必要なのが、運送業を安全かつ適正に運営するための人員体制です。
【必要な主な管理者】
- 運行管理者
⇒運転者の勤務管理・点呼・指導など、安全運行の責任者
⇒国家試験の合格または実務経験+講習が必要 - 整備管理者
⇒車両の点検整備・記録管理を担当
⇒整備経験のある人材の選任が求められます
これらの管理者が常駐し、法令で定められた書類管理・点呼・点検記録などを日常的に実施できる体制がなければ、許可は下りません。
また、事務員や運転者の雇用に関しても、労務管理・安全教育が実施されているかどうかが審査の対象となります。
単に人を雇えばよいのではなく、運送業としての「組織運営能力」が問われるのです。
運送業として信頼される体制づくりとは?
緑ナンバー取得にあたっては、形式的な条件を満たすだけでなく、「安全性」「信頼性」「継続性」を感じさせる体制づくりが重要です。
許可審査では、以下のような点がチェックされます。
- 資金計画と損益予測の妥当性
⇒運送事業として赤字にならないか?健全な経営が見込めるか? - 法令遵守の体制
⇒点呼・アルコールチェック・乗務員台帳など、法律に則った運営体制が整備されているか? - 過去の違反歴の有無
⇒代表者や役員、関連会社に重大な交通違反や行政処分がないか?
これらをクリアするには、事業としての信頼構築が不可欠です。
つまり「とりあえず台数と法人を揃えればOK」というわけではなく、長期的に信頼される運送会社であるかどうかが審査の焦点となります。
そのためには、日頃からの運行・整備管理、適切なマネジメント、顧客との信頼関係の構築が大切です。
▽緑ナンバー取得は“運送業としての本格化”の第一歩
軽貨物運送業からステップアップし、緑ナンバーで一般貨物運送事業を始めるには、法人化や車両5台体制の整備、専門人員の確保など、さまざまなハードルがあります。
一方で、それらの準備を丁寧に積み重ねることで、信頼性の高い運送事業者として、大手企業との取引や安定収益の道が開けるのも事実です。
最初は小さく、1台からスタートしても問題ありません。
黒ナンバーで経験を積みながら、将来的な緑ナンバー取得に向けて「体制づくり」をコツコツ進めていくことが成功のカギです。
「いつかは緑ナンバーで事業を広げたい」と思ったときが、準備を始めるタイミングです。焦らず、着実に、ステップアップを目指しましょう。
トラック1台で独立開業する際の注意点と対策
トラック1台で運送業を始めるという選択肢は、初期費用が比較的少なく、個人でもチャレンジしやすい点が魅力です。
しかし、参入のハードルが低い分、安定して収益を上げ続けるにはいくつかのリスクや課題にも直面します。
ここでは、軽貨物運送業で1台からスタートする場合に知っておきたい注意点とその対策について、具体的に解説していきます。
案件に依存しすぎると収入が不安定になる
軽貨物運送業では、多くの人が業務委託ドライバーとしてフードデリバリーやネット通販の宅配案件を受けて仕事をしています。
一方で、特定のプラットフォームや荷主に依存しすぎると、案件の減少や単価の下落が直接収入に響くリスクがあります。
特に、繁忙期や閑散期の影響を受けやすい業種であるため、1つの業務形態だけに頼るのではなく、「宅配・チャーター・スポット便」など複数の配送形態を掛け持ちする工夫が求められます。
加えて、法人や個人のクライアントを自力で開拓し、直接契約を結ぶことで手数料のかからない安定した収益基盤を築くことも可能です。
営業力やネットワークづくりも視野に入れるべきでしょう。
事故やトラブルへの備えと保険の重要性
トラック1台で運送を行う場合、すべてのトラブル対応を自分でこなす必要があるため、事故や荷物の破損といったリスクへの備えが重要です。
特に配送中の事故は、相手方への賠償や自身の車両修理など、想定以上の出費が発生する可能性があります。
そのため、任意保険(対人・対物・車両保険)や貨物保険への加入は必須です。
また、ドライバー本人の労災補償や収入保険なども検討することで、万一の際にも安心して事業を続けることができます。
さらに、納品遅延や破損時のトラブル対応マニュアルをあらかじめ準備しておくことで、信頼を失わずに対処できるでしょう。
事故後の対応が次の契約に大きく影響する点も意識すべきポイントです。
継続的な案件確保のための営業努力も必要
軽貨物運送業は「走れば稼げる」仕事である一方、走る前の仕事探しが成否を分ける重要なフェーズでもあります。
開業当初はフランチャイズやマッチングアプリなどからスタートするケースが多いですが、長期的に考えれば、自力で顧客を開拓する力が安定収入を左右します。
具体的には以下のような営業活動が効果的です。
- 地元の中小企業や工務店、花屋などへ直接営業
- 名刺やチラシをポスティング
- Googleビジネスプロフィールで地域検索にヒットさせる
- 口コミを活用してリピーターを獲得する
また、SNSでの情報発信や仕事日記の発信なども、思わぬ集客チャネルになることがあります。
案件をもらう側から、「選ばれる配送パートナー」としてのブランディングも意識しましょう。
▽1台開業は慎重な備えが成功のカギ
トラック1台での開業は魅力的なスタートアップモデルですが、成功するためには収入の安定性・リスク管理・営業努力の3本柱を押さえることが欠かせません。
1人で動くからこそ、トラブル時の対応や収入源の多様化に気を配る必要があります。
しっかりと準備と対策を講じたうえで、自分らしい働き方を築いていきましょう。
独立への一歩は、堅実な情報収集と行動から始まります。
トラック1台からでも運送業は始められる?現実と可能性を読み解く
「トラック1台あれば、自分でも運送業を始められるのでは?」という考えは、独立や副業を考える方にとって魅力的な選択肢に映るでしょう。
確かに、少ない初期投資で始められるのは大きなメリットですが、実際に“1台だけ”でできるのかどうかには、法律や制度、ナンバープレートの種類によって大きな違いがあります。
ここでは、「トラック1台での運送業」の現実的な可能性と、開業スタイルの選択肢をわかりやすく解説していきます。
黒ナンバーと緑ナンバーの違い、実は「1台」でできるのは…
運送業を始める上で、まず押さえるべきポイントがナンバープレートの違いです。
- 緑ナンバー – 法人または個人が「一般貨物自動車運送事業」として有償で運送業を営む際に必要なナンバー。国土交通省の許可が必要で、最低でも車両5台以上の保有が義務づけられています。
- 黒ナンバー – 軽自動車(軽貨物)を使って運送する際に必要な営業ナンバー。1台からでも登録可能で、比較的簡単に取得できるのが特徴です。
この違いにより、トラック1台で始められるのは「黒ナンバーを取得した軽貨物運送業」だけというのが現実です。
普通トラックで始めたい場合は、単独では難しく、事業規模のハードルが存在します。
軽貨物なら1台で開業可能!普通トラックだと何がネックになる?
軽貨物運送業であれば、黒ナンバーを取得し、個人事業主として開業届を出すだけで事業を始められます。
配送アプリや委託会社との契約も豊富で、スモールスタートに適した業態といえるでしょう。
一方、普通トラック(2トン車・4トン車など)での開業を目指す場合、前述の通り「緑ナンバー取得のために5台以上の車両と営業所・整備管理体制が必須」という高いハードルがあります。
そのため、個人1人でのスタートには現実的ではなく、法人化と複数台体制を見越した中長期プランが必要になります。
つまり、「トラック1台で始めたい」という方は、まずは軽貨物(黒ナンバー)でのスタートが現実的な選択になります。
「副業スタート」もOK?1台でも運送業に踏み出す選択肢
軽貨物配送の世界では、副業で週末だけ稼働する個人ドライバーも少なくありません。
特にフードデリバリーや日配系の宅配などは、時間の融通がききやすく、自分のペースで働ける柔軟性が魅力です。
副業として始めるには、以下のようなステップがあります。
- 黒ナンバーを取得(軽貨物の営業ナンバー)
- 個人事業主として税務署に開業届を提出
- 損害保険や貨物保険に加入
- 配送アプリや業務委託企業と契約
「本業だけでは収入が不安」「独立を見据えて試してみたい」といった方には、1台からの副業スタートという形で一歩踏み出す選択肢が現実味を帯びてきます。
▽トラック1台開業の現実とチャンスを見極めよう
トラック1台から運送業を始めたいと考えた時、その現実は「軽貨物運送(黒ナンバー)なら可能だが、一般貨物(緑ナンバー)は不可」という明確な分かれ道があります。
- 軽貨物(黒ナンバー)なら1台でも開業OK
- 普通トラック(緑ナンバー)は5台以上+許可が必須
- 副業から始めて将来独立へとつなげるルートも現実的
現実を理解し、制度の枠内で賢くスタートすれば、1台開業でもしっかり収益化を目指すことは十分可能です。
まずは「黒ナンバー」での軽貨物配送から始め、経験と実績を積んで将来のステップアップにつなげていきましょう。
トラック1台からの運送業開業は「軽貨物」なら現実的!まずは黒ナンバーで一歩を
トラック1台から運送業を始めるという選択は、「軽貨物運送業(黒ナンバー)」であれば十分に現実的で実践可能な選択肢です。
以下のような要点を押さえておきましょう。
- 一般貨物運送業(緑ナンバー)では1台開業は不可。5台以上の車両が必要。
- 軽貨物(黒ナンバー)なら1台でも開業OK。副業としてのスタートも可能。
- 開業には、黒ナンバーの取得、開業届、保険加入、車両準備などのステップが必要。
- 収入は配達件数や単価に左右されるが、経費もかかるため利益を意識した稼働計画が重要。
- 業務委託や配送アプリなどの活用で、案件の獲得と柔軟な働き方が可能に。
- 将来的に緑ナンバー取得を目指すなら、法人化や車両台数の増加、管理体制の構築がカギ。
独立開業や副業を検討中の方にとって、「トラック1台」の運送業は夢物語ではなく、段階的に実現可能なキャリアパスです。
まずは黒ナンバーからの一歩を踏み出し、自分に合ったスタイルを確立していくことが成功への近道となるでしょう。