前の記事で「古紙」に焦点をあてた記事をアップしました。本記事は「プラスチック」に焦点をあて見ていきます。廃棄物処理法で定められた、産業廃棄物の種類の一つに「廃プラスチック類」というのがあります。プラスチック類は私たちの生活と切り離せないものとなっていますが、企業にとっても同じことです。様々な製品で使用していることから、排出事業者にとっても、他人事では済まされない産業廃棄物の一つと言っても過言ではないと思います。プラスチックごみ問題について、考えていきましょう。

プラスチックごみの問題とは

「プラスチックごみ」が社会的関心を高めるようになった背景には、色々な要素が紐づいています。石油資源消費や焼却処理によるCO2の発生といった問題はありますが、最近では海洋に流出した大量のプラスチックごみが汚染を引き起こし、生態系に与え得る影響が大きくなってきております。海へ流出するプラスチックごみの量の年間推定量は年間800万トンという試算が出ており、このまま何の対策もとらなければ、2050年には海洋でのプラスチックごみの重量が海に住む魚の重量を超えると予測されています。上述より国際的に関心が高まっていくとともに、世界全体で取り組まなければならない世界規模の問題となってきております。

プラスチックごみ処理の課題

 もう一つの大きな背景要因としては、世界中の廃プラスチックの処理をほぼ一手に引き受けていた中国が、2017年12月に輸入停止に踏み切ったことが挙げられます。日本をはじめとした、多くの先進国で大量の廃プラスチックが行き場を失いました。それまでの中国は、高度経済成長期に当たり、製造業が急速に発展したことで、安価再生素材が求められていました。輸入していた廃プラスチックの中には汚れていたり、選別が不十分で再資源化できないものが含まれ、さらには有害物質が混入しているケースもあったそうです。
 このような有害物が野焼きされたり、河川に不法投棄されるなどで中国の環境問題は悪化する一方をたどりました。ついには社会問題として認知されるようになり、政府として輸入禁止の決定がなされたのです。
 
 2017年までは、日本の廃プラスチックの主な輸出先は中国であり、年間輸出量の半分以上を中国に送り続けてきました。輸入禁止を受け、中国の代わりとして、主に東南アジアへ輸出を行っていましたが、これらの国々も次々に輸入規制を導入することとなりました。日本は大打撃を受け輸出という大きな処理方法を失ったことにより、自国内で処理をしなければならない廃プラスチックが増加しており、処理対応が課題となっています。 

プラスチックごみ問題について、問題視されている背景や課題を軽くまとめてみました。次の記事では課題を抱えた中で、日本のリサイクル率を見ていきましょう。