2020年4月1日より、2つの条件を満たす産業廃棄物や排出事業者に電子マニフェストの義務化がスタートしました。

法令で定められている〝やむを得ない事情〟でない限り、原則として電子マニフェストの使用が義務化されたため、該当する排出事業者の方は制度についてよく理解しておく必要があります。

そこで今回は、2020年4月より義務付けされた電子マニフェスト義務化について以下のことがわかる内容になっています。
  • 電子マニフェストが義務化になる排出事業者の条件
  • なぜ電子マニフェストが義務化されたのか
  • 電子マニフェストの登録期限はいつまで?
  • もし電子マニフェストに登録できない場合は?その具体例も紹介
  • 受渡確認票の重要性
  • 今後電子マニフェスットはすべての産業廃棄物に広がる!?
今回施行された産業廃棄物の電子マニフェスト義務化についてよくわかる内容になっているで、ぜひ最後までご参考ください。

産業廃棄物電子マニフェストの義務化のポイントを解説

産業廃棄物のマニフェスト制度は、1993年に特別管理産業廃棄物に適応されスタートされました。
その5年後にすべての産業廃棄物にマニフェストの使用が義務化され、同時に電子マニフェスト制度もスタートしています。2020年4月には特定の産業廃棄物を排出する事業者を指定し、一定の排出量を超える場合に電子マニフェストの使用が義務づけられました。ここからは、2020年4月よりスタートした産業廃棄物電子マニフェスト義務化の対象者や、義務化となった理由、罰則についてポイントを解説していきます。

電子マニフェスト義務化の対象となる事業者

数年に一度産業廃棄物のマニフェスト制度は改正されており、2020年4月に特別管理産業廃棄物多量排出事業者(PCB廃棄物は含まない)に電子マニフェストの使用が義務化されました。

ここでいう〝多量排出事業者〟の定義は、2020年4月1日から全前々年度の特別産業廃棄物(PCB廃棄物を除く)の発生量が年間50トン以上の排出者です。

義務化対象になる人の2つの条件

① 特別管理産業廃棄物(PCB廃棄物は含まない)
② 特別管理産業廃棄物の発生量が50トン以上

該当する多量排出事業者は、特別管理産業廃棄物を処理する際に、収集運搬や処理を委託する場合に電子マニフェストの使用が義務づけられるようになりました。

どうして電子マニフェストが義務化されたのか

電子マニフェストの義務化について理由について明言されていませんが、2016年1月に発生した食品廃棄物の不正転売事件の影響があるのではないかと考えられます。

2016年1月の食品廃棄物不正転売事件を簡単に説明すると、愛知県のカレー店がカツカレー用の冷凍カツを廃棄するために、産業廃棄物処理業者に処理を委託。

しかし廃棄の冷凍カツは適切に処理されておらず、それどころか同県内スーパーにて販売されていた事件です。

カレー店が経緯を調べたところ、処理委託先の中間処理業者が食品として廃棄の冷凍カツを転売していました。

【参照】食品廃棄物の不正転売事案について(総括)|環境省
このような事件が発生してしまった場合に、紙のマニフェストだと書類を探し出し、精査するのに多くの時間と労力が必要になってしまいます。

そこで電子マニフェストを義務化することで、行政機関による実態把握や、原因究明を迅速に行うことができるため、義務化に踏み切ったと考えることができます。

電子マニフェストの登録期限はいつまで?

特別管理産業廃棄物を大量に廃棄する場合は、排出事業者が廃棄物を業者に引き渡した日から3日以内にマニフェストを交付する必要があります。

同様に、収集運搬業者や処理業者は、運搬・処分終了後3日以内に終了報告が必要となります。

この3日とは、土日祝・年末年始は含めない形となりますが、お盆などの長期期間等は含まれない等、細かなルール設定があります。適正処理の観点からは速やかな登録が必要とされています。
どうしても都合が悪い場合は、産業廃棄物を引き渡す日を調整するなどの対応をしましょう。

もし電子マニフェスト交付ができない場合は?

以下の場合は、法令で「電子マニフェストの登録が困難な場合」に該当するため、電子マニフェストの登録に代わり、紙のマニフェスト交付が認められています。
  • 義務対象者のサーバーダウンやインターネット回線の接続不具合などの電気通信回線の故障の場合
  • 電力会社による長期間の停電の場合
  • 異常な自然現象によって義務対象者などがインターネット回線を使えない場合
  • 離島内などで他に電子マニフェストを使用する収集運搬業者や処理業者が存在しない場合
  • スポット的に排出される廃棄物でそれを処理できる電子マニフェスト使用業者が近距離に存在しない場合
  • 常勤職員が平成31年3月31日において、全員65歳以上で義務対象者の回線が情報処理センターと接続されていない場合
(関係法令:廃棄物の処理及び清掃に関する法律 第12条の5第1項 同法施行規則 第8条の31の4)

上記のような〝やむを得ない事情〟の場合は、マニフェストの「備考・通信欄」にその理由を記入します。

受渡確認表票も忘れずに

受渡確認票とは、電子マニフェストを運用するにあたって補助的な目的で利用される伝票のことです。

受渡確認伝票は、一般的なコピー用紙に印刷して用意しておくか、すぐに提示できるスマートフォンなどに電子情報に入れて携行する必要があります。

受渡確認票は記入方法が自由ですが、運搬時に携行義務があるので条件を満たすように以下の情報を記載しておく必要があります。

1.	運搬する産業廃棄物の種類および数量に関する情報
2.	当該産業廃棄物の運搬を委託した者の氏名又は名称
3.	運搬する産業廃棄物の積載を行った日
4.	運搬する産業廃棄物を積載した事業場の名称および連絡先
5.	運搬先となる事業場の名称および連絡先

上記の5点は記載必須項目となります。

【参照】特別管理産業廃棄物を多量に排出する事業者のみなさまへ|環境省
【参照】Q&A 電子マニフェスト使用の一部義務化等について|環境省

今後の電子マニフェストの義務化は広がる?

これまでの法改正によって、マニフェスト制度が少しずつ厳しいものになってきており、2020年4月スタートの特別管理産業廃棄物の電子マニフェスト義務化は皮切りになるのではないかと考えています。
1993年4月特別管理産業廃棄物にマニフェストの使用を義務化
1998年12月すべての産業廃棄物にマニフェストの使用を義務化
電子マニフェスト制度が始まる
2001年4月マニフェストによる最終処分法億の確認を義務づけ
2005年10月マニフェストに関する罰則の強化
(50万円以下の罰金→6か月以下の懲役、または50万円以下の罰金)
2011年4月紙マニフェストの保存義務を排出事業者控え(A票)にも5年間の保存義務が課せられる
2018年4月マニフェストの虚偽記載等に関する罰則が強化される
(6か月以下の懲役、または50万円以下の罰金→1年以下の懲役または100万円以下の罰金
2019年4月情報処理センターへ登録・申告期限が変動される
これまでは3日以内(土日祝日含む)だったのが。3日以内(土日祝日除く)に変更
2020年4月特別管理産業廃棄物多量排出事業者(PCB廃棄物除く)に、電子マニフェストの使用を義務化
産業廃棄物のマニフェスト制度は、排出事業者が収集運搬業者や処分業者に委託した廃棄物処理が、適正に処理されているかを自ら把握できる他に、不法投棄の防止などにも役立ちます。

適正に処理されない産業廃棄物は社会全体の課題となっており、そのなかでも度々不法投棄される産業廃棄物のニュースをよく見かける方も多いのではないでしょうか。

不法投棄されることで景観が損なわれたり、処理に多くの時間と労力がかかってしまったりする他に、本来であればリサイクルできた貴重な資源も含まれていることも珍しくありません。

このようなルールを守らない人への罰則は年々厳しくなってきていることを考えると、今回の特別管理産業廃棄物の電子マニフェスト義務化は、すべての産業廃棄物で広がっていくのは自然と考えられます。

電子マニフェストが抱える問題点と3つの対処方法

2020年4月より多量の特別管理産業廃棄物を排出する際は、電子マニフェストが義務づけられました。

しかし現状は大量の特別管理産業廃棄物の処理に電子マニフェストが必要ですが、近い将来すべての産業廃棄物で電子マニフェストが義務化になる可能性もあります。

電子マニフェストは、紙のマニフェストと比べて管理・運用はとてもスムーズで、紛失のリスクがないので業種を問わずにおすすめですが、課題が3つあります。

ここからは電子マニフェストの課題等を紹介していきます。

電子マニフェスト非対応の取引先には利用を求める

電子マニフェストは排出事業者だけではなく、収集運搬や処理を委託する業者も電子マニフェストに対応していることで初めて利用が可能となります。

現状の法律では電子マニフェストの導入は義務ではありません。
そのため紙のマニフェストで対応しても問題ありませんが、紙のマニフェストは紛失や記載ミスなどのヒューマンエラーが起こりやすくなります。

いつ、どの種類の産業廃棄物が電子マニフェストの義務化対象になるかわからないので、義務化前に委託先に対応を求めるようにしてみましょう。

社内ルールを決めて3日ルールに対応する

電子マニフェストは原則排出日より起算し、3日以内に登録しなければならないというルールがあります。

土日祝は除く形となりますが、ゴールデンウィークやお盆などの連休の際は3日ルールを守れないのでは?と考えている方も多いと思います。

対処方法として、電子マニフェストへの登録は原則として当日中に済ませるようにルールを作ることで、3日ルールを守れなくなるリスクを大きく下げることができます。

どうしても都合が悪い場合は、委託する日を調整するようにしましょう。

紙のマニフェストのほうが都合が良い取引がある

・到着時有価物としての取引をしている
・複数品目が混ざった廃棄物は、紙のマニフェストで複数品目チェックしている
 上記の場合は紙のマニフェストの方が自由度が高く、電子マニフェストの導入が難しいと考えているかも 
 しれませんが、電子マニフェストはさまざまな機能を搭載しているので、機能を使いこなせば紙のマニフェ   
 スト同様に臨機応変な活用ができます。

「機能を使いこなせるか不安」という方は、サポートサービスが受けられる廃棄物管理システムを導入するのがおすすめです。

電子マニフェストのお悩みはマツダへご相談ください

電子マニフェスト運用業務や廃棄物に付随してくる管理業務には、煩わしい部分がつきものです。

① 許可証の有効期限チェックがめんどう
② 自治体ごとのルールがわかりにくい
③ CSRレポート作成が大変! などなど・・・

そこでおすすめなのが、弊社の廃棄物管理システム〝Wing〟です。

ここからは〝Wing〟の機能について、少しご紹介させていただきます。

〝Wing〟は、マツダ株式会社が開発した廃棄物管理業務をトータルでサポートできる総合支援システムです。
例えば、
・許可証の期限管理
・多数拠点の委託業者の把握と、新たな委託業者の選定基準を明確化
・拠点別の廃棄状況・処理コストの比較
・廃棄物から有価物への転換時の市況調査
・廃棄物に関する多様なローカルルールへの対応
・行政報告資料の作成サポート など

上記の機能は一部ですが、これだけでも排出事業者様のさらなる業務効率化と、環境コンプライアンス向上によるリスク回避を支援することが可能です。

電子マニフェストシステムと組み合わせることで、より幅広い機能を持つ廃棄物管理システムとなりますので、今後考えられる電子マニフェスト義務化の備えにいかがでしょうか。

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