産業廃棄物を排出する際には、都道府県や政令市から許可を得た処分業者に委託する必要があります。

このとき許可を得ているかどうかを判断する「産業廃棄物処分業許可証」には、とても重要なことが記載されているのでしっかりとチェックしておきましょう。

また、なかには偽造許可証を提示する悪質な業者も存在しているので、違反業者を見抜くためにも重要なチェックポイントはより重点的に確認しておきたいものです。

そこで今回は、産業廃棄物処分業許可証について以下のことがわかる内容になっています。

  • 産業廃棄物処分業許可証とは?チェックすべき3項目
  • 産業廃棄物処分業許可証の見方

産業廃棄物を排出するすべての排出事業者が知っておきたい産業廃棄物処分業許可証のチェック項目をわかりやすく解説していきます!

産業廃棄物処分業許可証とは?チェックすべき3項目も紹介!

産業廃棄物の処分は誰でもできるものではなく、都道府県知事などが「あなたの会社は産業廃棄物を処分してもいいですよ」と許可を得た業者のみが処分できます。

そのため産業廃棄物を処分する際は、その区域を管轄する都道府県などの許可を得なければなりません。

また排出事業者は、産業廃棄物処分業許可を得た業者に委託して、産業廃棄物を適切に処分する必要があります。

もし産業廃棄物処分業許可を得ていない業者に委託して廃棄物を処分した場合は、法律によって「5年以下の懲役、もしくは1,000万円以下の罰金、または併科」が科せられます

こうした罰則があるため、産業廃棄物処分業許可証は排出事業者が必ずチェックしなければならない書類のひとつです。

しかし産業廃棄物処分業許可証は、さまざまな重要事項が記載されているため「どこを重点的にチェックすればいいかわからない…」と悩む排出事業者が多いのではないでしょうか。

そこでここからは、産業廃棄物処分業許可証の重要チェックポイントを3つ紹介していきます。

1.産業廃棄物処分業許可証の有効期限をチェック

産業廃棄物処分業許可は、通常であれば5年間の有効期限が定められおり、優良認定を受けた業者であれば7年間が有効期限となります。

運転免許証と同じく、産業廃棄物処分業許可証も有効期限を過ぎれば〝無許可業者〟になってしまうので、有効期限を過ぎた業者に廃棄物の処分を委託すると違反行為になってしまうので注意が必要です。

しかし有効期限は切れていても、既に更新手続きが完了、もしくは申請中の場合は問題ありません。

既に委託している処分業者が産業廃棄物処分業許可証の更新を完了している場合は、速やかに新しい許可証を取り寄せて、古い許可証と差し替えるようにしましょう。

また申請中の場合は、処分業者に直接問い合わせて申請中の旨を確認した後に、無事許可証の申請が完了した際に新しい許可証を送ってもらうように手続きしておきます。

2.都道府県と市区町村のどちらの許可を得ているかをチェック

一般的には産業廃棄物処分業許可証は都道府県知事の許可の下、交付されますが政令指定都市と中核市、福岡県大牟田市の場合は市長が許可を出します。

例外的に福岡県大牟田市の場合は、令和元年6月の「地域保健法施行令の一部を改正する政令」および「廃棄物の処分及び清掃に関する法律施行令等の一部を改正する政令」が公布されたことで、大牟田市は〝保健所設置市〟と〝廃棄物処分法等政令市〟の指定を解除されています。

そのため、これまで大牟田市の産業廃棄物処分業許可を得ていた場合は令和2年4月1日から福岡県に移管されています。

これによって令和2年4月1日以降は、これまで大牟田市の許可を得ていた処分業者は福岡県が登録・許可したものとみなされることになりました。

しかし許可の有効期限を迎える前に政令市指定解除となったケースでは、大牟田市と福岡県の両方の許可を得ている場合があるので、産業廃棄物処分業許可証の有効期限がそれぞれ異なるため注意が必要です。

【参照】廃棄物処分法等の政令指定市の解除について|大牟田市

3.偽造されていないかチェック

産業廃棄物処分業許可証の様式は、インターネット上で調べると簡単に閲覧することができます。

そのため容易に偽造することが可能で、過去の事例として産業廃棄物処分業許可証の偽造を見抜けずに業務委託した排出事業者に罰則が下ったケースがありました。

このような事態を防ぐためにも、以下のチェック項目をよく確認しましょう。

  • 〝優良認定〟がないのに有効期限が7年間になっている
  • 許可番号の都道府県・市区町村を示す数字に誤りがある
  • 都道府県から許可を得る地域が市区町村から許可を得ている(その逆もあり得る)

特に許可番号は10桁もしくは11桁で構成されていて、左から3桁の数字でどの自治体から許可を受けているかわかるようになっています。

上記3つのチェックポイントは、実際に産後廃棄物処分業許可証の偽造でよく見られる特徴なので、よく確認することで偽造かどうかを見抜くことができます。

産業廃棄物処分業許可証の見方

ここまで産業廃棄物処分業許可証のチェックポイントを3つ紹介しましたが、許可証には3つのチェックポイントでは紹介しきれないほど重要な情報が記載されています。

できれば許可証に記載されている項目全てに目を通し、チェックを行うことが理想です。

産業廃棄物処分業許可証は都道府県によって様式や書式が異なりますが、記載される基本的な項目は全国的に統一されています。

そこでここからは、産業廃棄物処分業許可証の見方を紹介していきます。

許可番号

前述したとおり、産業廃棄物処分業許可証記載の許可番号は10桁、もしくは11桁の数字で構成されています。

  • 都道府県/政令市番号3桁
  • 業の種類を示す番号1桁
  • 都道府県/政令市が自由に使用できる番号1桁
  • 固有番号6桁

環境省の資料「都道府県及び政令市の固有番号」で許可を出している都道府県や政令市を調べることが可能です。

「業を示す番号」は、以下の表を参考にしてみましょう。

業の種類を示す番号
産業廃棄物収集運搬業積替保健を含まない0
積替保管を含む1
産業廃棄物処分業中間処分のみ2
最終処分のみ3
中間処分と最終処分4
特別産業廃棄物 収集運搬業積替保管を含まない5
積替保管を含む6
特別産業廃棄物 処分業中間処分のみ7
最終処分のみ8
中間処分と最終処分9

「固有番号」は6桁で構成されており、特別産業廃棄物処分業者に対して付与されます。

固有番号は産業廃棄物処分業者がそれぞれ持つ番号で、どの政令区からどの種類の許可を与えられても、ひとつの処分業者なら6桁の固有番号は共通します。

優良マーク

優良マークは「優良産廃処分業者認定制度」で認定を受けた処分業者を示すマークで、認定を受けた処分業者の許可証には「優良」と記載されています。

通常であれば産業廃棄物処分業許可証の有効期限は5年間ですが、優良マークが付与されることで7年間に延長されます。

他には優良業者は、公益財団法人 産業廃棄物処分事業振興財団運営の「産廃情報ネット」に掲載され広く公表されるため、処分委託先として選ばれやすくなるというメリットがあります。

優良マークの付与は申請すれば誰でも得られるのではなく、以下の5つの観点から認定基準が設けられています。

  1. 実績と遵法性
  2. 事業の透明性
  3. 環境配慮の経営
  4. 電子マニフェスト
  5. 健全な財務体質

排出事業者は、適正な委託料金かどうか、不適正処分を行う恐れがないかどうかなどを把握するための措置として注意義務が定められています。

「行政処分の指針について」として環境省の通知によると、優良認定業者へ産業廃棄物の処分を委託することは、前述の注意義務の履行に関する要素のひとつとして考慮されると明記されています。

(中略)また、平成23年4月から開始された優良産廃処分業者認定制度において、都道府県知事により産業廃棄物処分業の実施に関し優れた能力及び実績を有する者として認められた産業廃棄物処分業者(以下「優良認定業者」という。)は、産業廃棄物の処分状況や、産業廃棄物処分施設の維持管理の状況など、産業廃棄物の処分に関する情報を公表することとされているところであるが、排出事業者等が、これらの情報を十分に比較、吟味した上で産業廃棄物の処分の委託先を選定している場合には、前述の注意義務の履行に関する一つの要素として考慮できること。【引用】行政処分の指針について(通知)|環境省 

また一部の地域では、優良認定業者への搬入は事前協議の対象外とする地域もあります。

住所・氏名・代表者

産業廃棄物処分業許可証の住所・氏名・代表者名は、登記簿謄本に記載されているものが許可証に記載されます。

そのため普段見慣れた住所とは違う表記がされている場合もあります。

また、本社の移転や代表者の変更がされている場合は、経営的な改善があった可能性があるのでチェックが必要です。

委託先の処分業者の変化を感じたら、必要に応じて信用調査書などを再取得しておきましょう。

許可の年月日と有効期限

許可の年月日は、主に新規で処分業を始めた業者や、合併などで事業主体が変更になった業者の許可証に記載されています。

有効期限は、事業更新を行っている処分業者の許可証に記載されています。

繰り返しになりますが、通常であれば産業廃棄物処分業許可証の有効期限は5年。

優良マークを付与された認定業者は7年間になっています。

事業の範囲

産業廃棄物処分業許可証には、その業者ができる処分方法や処分できる産業廃棄物についても記載されています。

特に許可証が更新されたときに、汚泥や木くずなどの産業廃棄物の種類に限らず、処分方法も重点的にチェックします。

必ず処分できる産業廃棄物と、その産業廃棄物をどのように処分するのかも確認しましょう。

処分に関する設備

「事業の用に供するすべての施設」では、産業廃棄物の処分を実施する施設の設置日や、能力などが記載されています。

施設の設置場所についても、前述した住所・氏名・代表者と同じく登記簿謄本を基準に記載されます。

許可の条件

産業廃棄物処分業許可の申請時には、さまざまな資料を提出します。

提出された資料を基に、都道府県または政令市から条件を指定される場合があります。

条件が指定されている場合は許可証に明記されていますが、条件が指定されない場合もあります。

許可の更新または変更の状況

「許可の更新又は変更の状況」の欄では、過去から現在までの新規許可・変更届を提出した際の変更許可・更新許可内容が記載されています。

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まとめ

産業廃棄物処分業許可証は、都道府県もしくは政令市、中核市から発行されます。

排出事業者は産業廃棄物の処分の際に、許可を得た処分業者に委託して適切に産業廃棄物を処分しなければならない義務があります。

しかし、産業廃棄物処分業許可証は様式をインターネット上で簡単に確認できるので偽造されるケースもあります。

偽造を見抜けなかった排出事業者は、違反業者に産業廃棄物の処分を委託したことになるので重い罰則が科せられます。

このような事態を防ぐためにも、今回ご紹介した産業廃棄物処分業許可証のチェックポイントや見方をぜひ参考にしてください。

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