事業活動に伴って排出されるごみは、「事業系一般排廃棄物」と「産業廃棄物」のいずれかで処理を行います。

廃棄物の種類によっていずれかの方法で処理を行いますが、乾電池のような複数の素材でできていて、分別できない廃棄物はどうやって処理すればいいのでしょうか?

今回は、乾電池の処理方法について以下のことがわかる内容になっています。

  • 乾電池は産業廃棄物?保管の際の注意点
  • 乾電池を処理する2つの方法
  • 産業廃棄物の乾電池を処理するときのマニフェストの書き方

乾電池の処理方法についてよくわかる内容になっているので、ぜひ最後まで読んでみてください。

産業廃棄物の乾電池の区分・種類は?保管の際の注意点

産業廃棄物は20種類に区分されていますが、乾電池のようにさまざまな素材でできていて、分別することができない廃棄物は何に分類されるのでしょうか?

ここからは乾電池の産業廃棄物における種類・区分の他に、乾電池の具体例や保管の際の注意点を解説していきます。

乾電池は“混合廃棄物”

乾電池は外装が“金属くず”、乾電池の内部にある炭素棒は“汚泥”なので、「混合廃棄物」に分類されます。

また水銀を使用している乾電池は「水銀製品産業廃棄物」に分類されるので、乾電池の外側の表示を確認した上で処分する際は他の乾電池と分けて処理を行いましょう。

産業廃棄物になる乾電池の例

どのような電池が金属くず・汚泥の“混合廃棄物”に該当して、さらに水銀製品産業廃棄物に該当するのかは以下の通りです。

  • アルカリ電池
  • マンガン電池
  • ニッケル・カドミウム電池
  • ボタン電池
  • リチウムイオン電池

上記の他に乾電池ではありませんが、産業用電池(鉛蓄電池・アルカリ蓄電池など)もあります。

産業用蓄電池・鉛蓄電池は金属くずや汚泥ではなく、以下の種類に分類されることを覚えておきましょう。

  • 産業用畜電池(鉛蓄電池)…廃プラスチック類・金属くず・廃酸
  • 産業用蓄電池(アルカリ蓄電池)…廃プラスチック・金属くず・廃アルカリ

乾電池・電池の種類によって産業廃棄物の種類が異なるので、処理するときはよく確認するようにしましょう

乾電池を保管するときの注意点

後述しますが、産業廃棄物の乾電池を処理する際は専門業者に委託するのが一般的です。

その際に、業者に引き渡すまで一時保管する際は火災に注意を払う必要があります。

電池の端子同士や電池以外の金属と接触した場合にショートし発火する恐れがあります。

その為、電池の種類ごとに分別を行い、さらに使用済みの電池と使用前の電池を分けている事が重要です。また、端子同士の接触を避ける為、端子にテープを貼り付け絶縁する必要があります。

産業廃棄物の乾電池を処理する流れ

産業廃棄物の乾電池は、以下の順番に処理されます。

  • 事業者が使用済みの乾電池を保管
  • 許可業者によって回収
  • リサイクルセンター(中間処理業者)で一時保管
  • リサイクルセンターから処理場へ運搬
  • 破砕し磁力選別を行い鉄と非鉄を分別しリサイクル。
    水銀使用の乾電池は600〜800度の高温で焙焼し水銀を蒸発。
    蒸気になった水銀は再び冷やし液状に戻します。

産業廃棄物の乾電池を処理するときのマニフェストについて

乾電池を処理するときにも、産業廃棄物を排出することに変わりないのでマニフェストの交付が必須です。

しかし乾電池のように複数の素材でできた廃棄物で、分別することができない廃棄物を処理するときのマニフェストはどうやって書けばいいのでしょうか?

ここからは環境省の通知を参考に、乾電池のマニフェストの書き方を紹介していきます。

乾電池のマニフェストには「一体不可分」が適応される

産業廃棄物を排出する際に、事業者はマニフェストを発行することが義務づけられています。

マニフェストは廃棄物の種類ごとに発行することが原則として定められていますが、乾電池のようにさまざまな素材でできていて、その廃棄物が分別できないものであればどうやってマニフェストを発行すればいいのでしょうか?

先に結論を言うと、乾電池のようにさまざまな素材でできている産業廃棄物は「一体不可分」に該当するので、環境省は1枚のマニフェストにまとめても問題ないと通知を発行しています。

一体不可分を簡単に説明すると「分別できない状態」のことで、乾電池の他に、車やフォークリフトなどに使用される鉛バッテリーのように、「鉛の電極」「プラスチックのケース」「硫酸液」のように混合している素材の廃棄物を指します。

一体不可分のマニフェストの書き方

乾電池のように一体不可分の廃棄物のマニフェストでは、「名称」と「種類」の欄には、廃棄物が含む素材すべてにチェックを入れて記載します。

例えばアルカリ電池であれば、外装が「金属くず」で中身が「汚泥」なので、金属くずと汚泥のチェックを入れます。

また、広域認定制度で乾電池を処理する場合は、法定ではマニフェストを交付しなくてもいいことになっています。

【参照】産業廃棄物管理表制度の運用について(通知)|環境省

【参照】広域処理|一般社団法人 電池工業会

まとめ

乾電池は産業廃棄物のなかでも「混合廃棄物」に該当する他に、乾電池の種類によっては水銀を含むので特別な処理が必要になるケースがあります。

乾電池の処理方法は「許可業者に委託」「広域認定制度」の2つの方法があります。

乾電池のような産業廃棄物の処理にはマニフェストの発行が必須ですが、乾電池はさまざまな素材でできた廃棄物で分別できないので、「一体不可分」になります。

一体不可分の産業廃棄物は、通常であれば種類ごとに1枚のマニフェストが必要なところ、1枚にまとめて記載できます。

マニフェストの発行には紙のマニフェストの他に、電子マニフェストの運用がおすすめです。

弊社の“Wing”は、廃棄物管理業務を効率化できる総合パッケージとなっておりますので、ぜひご活用ください。