これまで蛍光灯は通常の産業廃棄物として処理できましたが、法改正によって水銀を使用している蛍光灯は特別な処理方法が求められるようになりました。
処理方法が異なれば、発行するマニフェストの書き方も異なります。
そこで今回は、産業廃棄物の蛍光灯について以下のことがわかる内容になっています。
- 産業廃棄物の蛍光灯は2つに区分される!水銀使用製品の注意点
- 産業廃棄物の蛍光灯を保管する際の注意点
- 産業廃棄物の蛍光灯を処分するときのマニフェストの書き方
「どうやって蛍光灯を処分すればいいの?」と悩んでいる排出事業者様のお役に立つ内容になっておりますので、ぜひ最後までご参考ください。
産業廃棄物の蛍光灯は2つの区分に分類される
事業活動に伴って排出される蛍光灯は、産業廃棄物として処理しなければなりません。
しかし蛍光灯には、近年普及しているLEDを使用したものなど水銀を使用しない蛍光灯と、水銀を使用した蛍光灯の2種類があります。
処分したい蛍光灯が水銀を使用しているかどうかで扱い方が大きく異なるので、ここから詳しく解説していきます。
水銀を使用しない蛍光灯は通常の産業廃棄物として処理できる
水銀を使用していない蛍光灯は、主に以下のようなものがあります。
- 白熱電球
- ハロゲン電球
- LEDランプ
上記の蛍光灯は水銀を含まないので、産業廃棄物の「ガラスくず、コンクリートくず及び陶磁器くず」「金属くず」「廃プラスチック」の3つに該当します。
蛍光灯はそれぞれの素材を分別することが難しい〝混合廃棄物〟に該当するため、上記の3つの許可を得た処理業者に委託して処分することになります。
水銀を使用した蛍光灯は〝水銀使用製品産業廃棄物〟に該当する
一方で、水銀を使用した蛍光灯には以下のようなものがあり、前述した水銀を使用していない蛍光灯とは違う処理方法が求められます。
- 直管蛍光灯(棒状のもの)
- サークル管
- ツイン管
- 水銀灯
- ナトリウム灯
- 冷陰極蛍光灯
2017年(平成29年)10月に廃棄物処理法が改正され、新たな処理基準が施行されたことで、水銀を使用した蛍光灯は「水銀使用製品産業廃棄物」に分類されるようになりました。
蛍光灯には水銀の他に、安定的に点灯させるためにPCB(ポリ塩化ビフェニル)という有害物質を含むので、特別な処理方法が必要です。
環境省は法改正の対象となる蛍光灯を明記しており、品番から該当する蛍光灯が調べるこことが可能です。
製品 | 品番など | |
蛍光ランプ (一般照明用) | 直管蛍光ランプ・ 環形蛍光ランプ・ 角形蛍光ランプ ・コンパクト型蛍光ランプ | 品番が「F」からはじまるすべでの蛍光灯 |
電球形蛍光ランプ | 品番が「EF」ではじまる全ての蛍光灯 | |
蛍光ランプ (特殊用) | ブラックライト蛍光ランプ・ 捕虫器用蛍光ランプ ・半導体工場クリーンルーム用ランプ・ カラー蛍光ランプ | 品番が「F」ではじまる全ての蛍光灯 |
冷陰極蛍光ランプ | バックライト用 冷陰極蛍光ランプ(CCFL) 及び外部電極系高ランプ(EEFL) | テレビやパソコン、モニターなどで使用されている数mmのとても細い形状の冷陰極蛍光ランプ |
【参照】事業者向け水銀使用ランプの分別・回収及び排出について|一般社団法人 日本照明工業
上記の表は無電極蛍光ランプ、冷陰極蛍光ランプなどを含む蛍光灯ですが、日本照明工業のホームページでは他に「HIDランプ」や「その他の低圧放電ランプ」についても該当製品の案内があるので一度確認しておきましょう。
水銀を含む蛍光灯の処理を委託する場合は、法改正によって以下のように新たな対応が必要になりました。
- 取り扱う産業廃棄物に「水銀使用製品産業廃棄物」を含む許可を得ているか確認
- 委託する産業廃棄物の種類に「水銀使用製品産業廃棄物」を含まれているか確認
- マニフェストの〝種類欄〟に「水銀使用製品産業廃棄物」が含まれており、その数量を記載する
- 水銀を含む蛍光灯を保管する場所には、掲示板の〝種類欄〟に「水銀使用製品産業廃棄物」と明記する
- 帳簿には「水銀使用製品産業廃棄物」にかかわるものであること明記する
【参照】水銀廃棄物の適正処理について新たな対応が必要になります。|環境省
特に保管方法では、水銀を含む蛍光灯を「粉砕することのないように運搬すること」と定められており、収集運搬業者や処理業者に引き渡すまでに自社で保管する際にも、蛍光灯を割らないように注意して保管する必要があります。
また実際に水銀を使用した蛍光灯の収集運搬や処理を委託する場合は、「水銀使用製品産業廃棄物」の収集運搬、または処分の許可を受けた専門業者に委託する必要があります。
産業廃棄物の蛍光灯で水銀使用製品は保管方法に注意しよう
蛍光灯はワレモノなので、特にオフィスや工場など産業廃棄物として排出される蛍光灯は数が多いことから、保管方法に注意する必要があります。
ここからは、産業廃棄物の蛍光灯を保管する際の注意点について解説していきます。
他の産業廃棄物と混ざらないように保管する
水銀を使用した蛍光灯を、収集運搬業者や処理業者に委託するまで自社で保管するケースが多いと思います。
この場合、他の産業廃棄物と混ざらないようにしなければなりません。
仕切り板を設けて他の産業廃棄物と混ざらないように工夫しましょう。
また、保管場所には掲示板を設置しますが、前述したように掲示板〝種類欄〟には水銀使用製品産業廃棄物を保管している旨を明記します。
水銀使用製品の蛍光灯は割れてはいけない
法改正では、水銀使用製品の蛍光灯が「粉砕しないように運搬しなければならない」と定められています。
そのため、蛍光灯が割れないように運搬できるよう、保管する時点で割れないための工夫が必要です。
例えば割れないように緩衝材を巻き付けたり、段ボールに保管したりします。
万が一水銀を使用した蛍光灯が割れた場合は、中身の水銀が飛散してしまうので、窓を開けて数時間換気を行い、破片や粉には直接触れずにほうきや固い段ボールですくってポリ袋などに密閉します。
さらにすくい上げた後に残る細かな破片は、ガムテープや湿らせた布などで拭き取り、同様にポリ袋に密閉します。
また割れてしまった場合も水銀使用製品産業廃棄物として処理しなければなりません。
破損した水銀使用の蛍光灯は、取扱いできる業者が限られてくるので事前に問い合わせておきましょう。
産業廃棄物の蛍光灯はどのように処理されるのか
蛍光灯は専門のリサイクル施設へ運搬された後に、リサイクルの前段階として粉砕処理を行い、水銀、ガラス、電極、蛍光粉へ分別します。
分別されたこれらの素材はリサイクル原料となり、以下のものに再利用されます。
- 水銀…試薬などへ再利用
- ガラス…ガラス製品やガラスウールへ再利用
- 蛍光粉…レアアース原料に再利用
- 口金…アルミ原料へ再利用
蛍光灯は分別できない混合廃棄物ですが、適切な施設へ収集運搬され処理することで、そのほとんどを再び新しいものとして再利用することができます。
産業廃棄物の蛍光灯を処理するときのマニフェストは?
蛍光灯は水銀を使用しているものと、水銀を使用していないものでは扱い方は全く異なります。
そのため産業廃棄物を処理するときに排出事業者が発行するマニフェストの書き方も異なるので、ここからは書き方のポイントを紹介していきます。
電子マニフェストを活用すればより簡単に効率良くマニフェストを発行し運用できるのでおすすめです。
電子マニフェストのメリットについても解説していくのでぜひご参考ください。
蛍光灯を処理するときのマニフェストの書き方
繰り返しになりますが、蛍光灯は分別が難しい混合廃棄物なので「産業廃棄物の種類」の欄には複数に丸印を入れます。
- 04 ガラス・陶磁器くず
- 05廃プラスチック類(自治体によって該当するケースあり)
- 06 金属くず
上記に丸印入れたら、次に「管理型品目欄」を記入します。
「17 石綿含有産業廃棄物」の下に「水銀使用製品産業廃棄物」を追記し、蛍光灯の数量を記入しましょう。
次に「形状」の欄では、「1 固形状」に丸印を入れて、「荷姿」の欄には使用している容器に該当するものを丸印で囲みます。
例えばドラム缶に保管している場合は「3 ドラム缶」の他に、「専用容器」や「段ボール箱」などの空欄に追記していきます。
最後に「追記記載事項」の欄に蛍光灯の具体名を記入します。
「蛍光ランプ」や「ドラム缶10個」「専用コンテナ2個」などと記入してマニフェストの完成です。
マニフェストは電子マニフェストが便利
1998年に運用が開始された電子マニフェストは、多くの事業者の方が利用しています。
電子マニフェストでマニフェストを発行し運用すれば、従来の紙のマニフェストを作成する手間や労力が軽減し、保管スペースや紛失リスクが不要になるのでとても便利です。
また情報システムが各都道府県知事に報告してくれるので、紙のマニフェストを発行するときに必要な産業廃棄物管理票交付等状況報告書の提出が不要になるのは大きなメリット。
導入には費用の他にインターネット環境が必要になりますが、こうしたデメリットがあってもメリットが勝るのでおすすめです。
電子マニフェストでは、蛍光灯を処分するときのように複数の産業廃棄物の種類にチェックを入れられる他に、到着時有価物への対応も可能。
さまざまなシーンに応じて適切なマニフェストを発行することが可能で、これまでのようにひとりの担当者が廃棄物管理業務を負うことなく、複数パソコンやスマートフォン、タブレット端末から簡単に操作することができます。
廃棄物総合管理システム〝Wing〟で効率向上・リスクマネジメントが可能
廃棄物総合管理システム〝Wing〟は、マツダ株式会社が開発した廃棄物管理業務支援のためのシステムです。
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- 許可証の期限管理が面倒
- 多数拠点の委託業者の把握や、新たな委託業者の選定基準が不明確
- 拠点別の廃棄状況や処理コストの比較ができない
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- 廃棄物に関する多様なローカルルールへの対応がめんどう
- 行政報告資料の作成に苦戦している など
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まとめ
これまで蛍光灯は種類を問わずに通常の産業廃棄物として処理することができましたが、2017年からは法改正によって水銀を使用している蛍光灯に関して「蛍光灯使用製品産業廃棄物」と扱うようになりました。
水銀使用製品産業廃棄物の蛍光灯は保管の際に割らないように注意し、万が一割ってしまった場合は、割れた蛍光灯を回収できる業者を見つける必要があります。
水銀を使用している蛍光灯、水銀を使用していない蛍光灯は扱い方が異なるので、マニフェストの書き方も異なります。
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