産業廃棄物管理・事務業務で、専門業者への委託やアウトソーシングは人手不足・知識不足を解消するひとつの手段になっています。

特に、支払い代行などのサービスを利用している事業者の方が多いのではないでしょうか?

しかし、このような第三者への委託・アウトソーシングは、産業廃棄物処理法上違法にならないのか気になります。

そこで今回は、産業廃棄物の支払い代行などの委託・アウトソーシングで気になる以下の内容を紹介していきます。

  • 産業廃棄物の管理や事務で支払い代行業者に委託するのはあり?
  • 産業廃棄物上の委託・アウトソーシングの判断

「産業廃棄物の管理や事務で、支払い代行業者を利用したい」という方に、ぜひ知っておいてほしい内容になっているので最後まで参考にしてみてくださいね!

産業廃棄物の管理や事務で支払い代行業者に委託するのは適法?

産業廃棄物管理業務の人手不足や、知識不足が問題になっています。

このような問題を打破するために、企業によっては産業廃棄物管理専門のプロへ代行を委託するケースがあるでしょう。

特に、収集運搬業者や処分業者への支払い代行業務をアウトソーシングするケースが目立ちます。

しかし自社で産業廃棄物の管理や事務を行わないのは、産業廃棄物処理法上問題ないのでしょうか?

ここからは、産業廃棄物処理法と産業廃棄物の支払い代行業務について紹介していきます。

支払い代行業者の利用は違法ではない

先に結論を言うと、産業廃棄物の収集運搬業者や処分業者の支払い代行の利用は、産業廃棄物処理法上、違法にはなりません。

ここでポイントとなるのが、産業廃棄物処理法上の以下の5つの事項です。

  1. 3条1項…事業者はその事業活動に伴って生じる廃棄物を自らの責任において適正に処理しなければならない
  2. 法11条1項…産業廃棄物は自ら処理しなければならない
  3. 法12条5項・6項…第三者と委託する場合には産廃業者へ委託しなければならない
  4. 法12条7項…最終処分が終了するまでの必要な措置の努力義務
  5. 法25条1項6号…無許可業者に委託することは委託基準違反である

上記5つの事項は、産業廃棄物の処理が収集運搬から最終処分まで環境に与える負担や生活環境保全上の支障を未然に防ぐためです。

こうした法律がある以上、支払い代行業務を他社へ委託するのは法律違反のように感じます。

しかしこれら産業廃棄物処理法は、廃棄物の処理そのものではなく、排出事業者が行う事務を支払い代行などの業者など許可を有しない第三者へ委託・アウトソーシングすることを否定しているわけではありません。

なぜなら、支払い代行業務の委託を中心に産業廃棄物の一部管理や事務業務は、環境に与える悪影響や、生活環境保全上の支障を直接発生させるものではないからです。

産業廃棄物の排出事業者の責任によって許可業者との契約が成立し、さらに許可業者が産業廃棄物の収集運搬や処理を適正に実施していれば問題ありません。

契約内容は排出事業者が決める

産業廃棄物処理に係わる管理や事務の支払い代行を、許可を有しない他社へ委託するのは法律上問題ないと紹介しました。

しかし法律上、注意しなければならないのが〝丸投げ状態〟の支払い代行業務になっていないかです。

参考になる資料が、平成29年3月に環境省から発行されています。

(中略)排出事業者としての責任を果たすため、排出事業者は、委託する処理業者を自らの責任で決定するべきものであり、また、処理業者との間の委託契約に際して、処理委託の根幹的内容(委託する廃棄物の種類、数量、委託者が受託者に支払う料金、委託契約の有効期間等)は、排出事業者と処理業者の間で決定すべきものである。排出事業者は、排出事業者としての自らの責任を果たす観点から、これらの決定を第三者に委ねるべきではない。【引用】廃棄物処理に関する排出事業者責任の徹底について(通知)|環境省

産業廃棄物の委託契約を第三者へ委託・アウトソーシングする際の注意点について詳細に記載されており、支払い代金の内容についても記載されているので、支払い代行業務を他社へ委託する際にも〝丸投げ状態〟にならないように注意する必要があります。

まとめ

産業廃棄物の管理・事務業務の人手不足は、業界全体の深刻な問題です。

しかしその問題の解消は企業に託されているので、支払い代行業者などの第三者へ委託・アウトソーシングする例が多くあげられます。

産業廃棄物処理法上、支払い代行業務を第三者へ委託・アウトソーシングしても問題ありません。

しかし〝丸投げ状態〟にならないように注意する必要があります。

あくまで支払い代行を依頼する契約内容については、事業者が意思決定する必要があります。

また、支払い代行以外に産業廃棄物の管理・事務業務では、専門業者への委託・アウトソーシングを利用している方も多いでしょう。

その際は、どこまでの範囲が委託基準に該当するのか把握しておく必要があります。