板ガラスくずや、陶器くず、コンクリートブロックくずやインターロッキングくずは、産業廃棄物では「ガラス、コンクリートおよび陶磁器くず」に分類されています。
またガラスくずはリサイクルできる資源でもあるので、排出する際は〝専ら物〟として扱うことも可能な場合もございます。

そこで今回は、産業廃棄物のガラスくずについて以下のことがわかる内容になっています。

  • 産業廃棄物のガラスくずとは?具体例を紹介
  • 産業廃棄物のガラスくずの処理方法
  • 産業廃棄物のガラスくずを排出するときのマニフェストの扱い方

「ガラスくずはどういう廃棄物なの?」「どうやって排出すればいいの?」と悩んでいる排出事業者のお役に立てる内容になっているので、ぜひ最後までご参考ください。

産業廃棄物のガラスくずとは?3つの種類に分類される

産業廃棄物は20種類に分類されていますが、ガラスくずは「ガラスくず、コンクリートくずおよび陶磁器くず」という分類に定められています。

ここからは、この分類について詳しく具体例を混ぜながら解説していきます。

1.ガラスくず

ガラスくずとは、ガラス製品が割れたり、破損したりした際に発生する破片のことで、ガラスくずに該当する品目は以下の通りです。

  • 廃空きビン類
  • 板ガラスくず
  • アンプルロス
  • 廃損ガラス
  • ガラス繊維くず
  • カレットくず
  • ガラス粉くず など


ガラスくずはリサイクル可能な廃棄物で、産業廃棄物として排出されるガラスくずの77%はリサイクルされています。

2.陶磁器くず

陶磁器くずとは、陶磁器やセラミック製品が壊れた際に証居る破片や、崩れた部分のことで、代表的な品目は以下の通りです。

  • 土器くず
  • 陶器くず
  • 磁器くず
  • せっ器くず
  • 燃結材くず
  • フェライトくず
  • セラミックくず
  • 素焼くず
  • 耐火煉瓦くず
  • 焼瓦くず
  • タイルくず など

陶磁器くずもガラスくずと同じく、リサイクル可能な資源として処理することが可能です。

3.コンクリートくず

コンクリートくずとは、コンクリート製品の製造過程などで生じるコンクリートのかけらや不良品などの廃棄物のことを指します。

  • コンクリートブロックくず
  • インターロッキングくず
  • 石膏ボードくず
  • セメントくず
  • モルタルくず など

混同されやすいのが「がれき類」と「コンクリートがら」です。

がれき類とコンクリートがらは同じもので、「工作物の新築、改築又は除去にともなって生じたコンクリートの破片その他これに類する不要物」と定義されています。

ただし例外として石膏ボードに関しては、以前まで製造工程で生じた廃石膏ボードは「ガラスくず、コンクリートくずおよび陶磁器くず」。建築や解体工事の際に生じた廃石膏ボードは「がれき類」として処理していました。

しかし現在では、排出された状況にかかわらず石膏ボードは「ガラスくず、コンクリートくずおよび陶磁器くず」として扱います。

コンクリートくずとの区別の仕方としては、排出される状況に応じて以下のように判断して差し支えありません。

・コンクリートくず…コンクリート製品の製造過程などで生じるかけらや不良品などの廃棄物

・がれき類・コンクリートがら…建築現場で排出されたコンクリート

コンクリートくずとがれき類・コンクリートがらは分類が違うので、処理方法も異なります。

そのため産業廃棄物を排出する際に収集運搬や処理を委託する場合は、その品目の許可をもった業者に委託するようにしましょう。

産業廃棄物のガラスくずの処理方法は?

産業廃棄物のガラスくずは、埋立処理もしくはリサイクル処理の2つのいずれかの方法で処分されます。

また、リサイクルできるか、それともできないかによって処分費用も異なります。

そこでここからは、ガラスくずの埋立処分の方法と、リサイクル処分の2つの処分方法と処分費用の相場を紹介していきます。

埋立処理

中間処理業者にて破砕処分を行った後に、安定型最終処分場に運ばれて埋立処分されます。

ガラスくずはリサイクル可能な資源ですが、なかにはリサイクルできないガラスくずもあります。

環境省の資料によると、産業廃棄物のガラスくずとして排出された廃棄物のなかの8%が減量化され、15%が最終処分場に運ばれて埋立処分されます。

リサイクル処理

ガラスくず、コンクリートくずおよび陶磁器くずは、全体の77%の再利用率を誇ります。

リサイクルできるガラスくずは、ガラスを色分けした後に破砕して、カレットと呼ばれるガラス原材料としてリサイクルされます。

カレットはケイ砂などよりも低温で解かすことができるため、カレットを原料にガラスを生成することでエネルギーと資源の節約になります。

また、がれき類と同じく破砕した後に、路盤材や骨材原料としてリサイクルすることも可能です。

ガラスくずは水を吸わない特性を持ち、屋根瓦は通気性と保水性を兼ねそろえているので、それぞれの特性を活かしてリサイクルされます。


このようにガラスくずはリサイクル可能な資源である一方で、15%が最終処分場で埋立処分されている現状を考えると、まだまだ発展の余地が十分あると言えるでしょう。

【参照】令和4年度事業 産業廃棄物排出・処理状況調査報告書 令和3年度速報値|環境省

産業廃棄物を排出するときにはマニフェスト発行が必須

ガラスくずを産業廃棄物として排出するときはマニフェストの交付が必須ですが、リサイクルするときはマニフェストが不要になります。

特にガラスくずをリサイクルするときは、すべてのガラスくずでリサイクルするならマニフェスト不要というわけではなく、一部のガラスくずが〝専ら物〟に該当するのでマニフェストが不要になります。

ここからが、ガラスくずを排出するときのマニフェストについてご紹介していきます。

専ら物として処理する場合はマニフェスト不要

専ら物とは、再生利用の目的となる古紙、古銅などを含むくず鉄、あきびん類、古繊維の4品目のことです。

これら専ら物をリサイクルを目的に排出する場合、「廃棄物処理業の許可不要制度」によって、専門のリサイクル業者に引き渡す場合はマニフェスト不要で廃棄物を排出できますが(廃棄物処理法 第14条第1項 第6項(産業廃棄物処理業))委託契約書は必要です。

びん類や板ガラスなどのガラスくずは、前述したガラス原料のカレットや路盤材、セメント再生骨材などにリサイクルできるものであれば〝専ら物〟に該当します。

「産業廃棄物に該当する専ら物」に必要な委託契約書には、「受託業務終了報告」が法定記載事項として定められているため、マニフェストに代わる何らかの終了報告をリサイクル業者から受ける必要があります。

【参照】第3章 リユース業界を取り巻く環境関連法の法的環境の整理|環境省

専ら物と有価物の違い

前述したように、ガラスくずは専ら4品目に該当しますが、ガラスくずをリサイクルできる処理業者として、コンクリート工場や石膏ボードリサイクル工場など幅広く存在しています。

繰り返しになりますが専ら物とは〝リサイクル(再生利用)を目的とした廃棄物〟のことで、専門にその廃棄物を扱う処理業者に対してはマニフェストの発行は不要です。

では、有価物と専ら物の違いは何なのでしょうか?

簡単に説明すると以下のようになります。

  • 専ら物…専ら物とは、正式名称を「専ら再生利用の目的となる産業廃棄物または一般廃棄物」と言い、その名の通りリサイクルが主な目的となる廃棄物のこと
  • 有価物…他人に有償で引き渡される廃棄物のこと

実は、法律上では明確にどんな廃棄物が有価物に該当するか示されていません。

そのため、産業廃棄物が有価物にがいとうするかどうかは以下の〝総合判断説〟を用いて判断されます。

  1. 物の性状
  2. 排出の状況
  3. 通常の取扱い形態
  4. 取引価値の有無
  5. 占有者の意思

ガラスくずを有価物として排出する場合は、産業廃棄物ではないのでマニフェストの交付は不要です。

しかし、他の産業廃棄物とまとめて排出する場合や、「到着時有価物」としてガラスくずを扱う場合はマニフェストの交付が必要になります。

【参照】廃棄物の定義について|環境省

産業廃棄物として処理する場合はマニフェストの発行が必須

先ほど、ガラスくずはリサイクルできるものであれば〝専ら物〟としてマニフェスト不要で排出できるとご紹介しました。

しかしリサイクルできないガラスくずに関しては、産業廃棄物として排出する必要があります。

ご存じの通り、産業廃棄物を排出するときに排出事業者はマニフェストの発行を行います。

マニフェストの書き方は、他の産業廃棄物と同様に「産業廃棄物」の欄で「種類(普通の産業廃棄物)」にチェックを入れて、「1300 ガラス・コンクリート・陶磁器くず」にチェックを入れます。

産業廃棄物のガラスくずについては、各都道府県によって表記が異なるので注意が必要です。

地域によって「ガラスくず」とだけ表記されているケースや、「ガラスくず、コンクリート及び陶磁器くず」と表記されている場合があるので確認しましょう。

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マニフェストを発行するときは、紙の書類として発行するケースと、電子データの電子マニフェストとして発行するケースがあります。

紙のマニフェストは発行・返送から5年間保管しなければなりませんが、その期間中に保管場所を圧迫したり、紛失のリスクがあったりするなどさまざまなデメリットがあります。

そのため、最近では電子マニフェストの利用者が増えてきています。

しかし電子マニフェストを利用していても、さまざまな悩みがあるのではないでしょうか?

例えば…

  • 許可証の期限管理が面倒
  • 多数拠点の委託業者の把握や、新たな委託業者選定の基準が不明確
  • 拠点別の廃棄状況や処理コストの比較ができない
  • 廃棄物から有価物への転換をしたいが、市況がわからない
  • 廃棄物に関する多様なローカルルールへの対応がむずかしい
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まとめ

産業廃棄物のガラスくずは、ガラスくず、コンクリートくず、陶磁器くずの3種類の廃棄物の総称です。

ガラスくずはリサイクル可能な資源で、ガラス原料のカレットや路盤材などに再利用することが可能。

そのため〝専ら物〟としてガラスくずを排出できるので、リサイクルできるものに関してはマニフェスト不要で排出することが可能です。

しかしリサイクルできないガラスくずに関しては、産業廃棄物として排出しなければならないのでマニフェストの交付が必要です。

マニフェストの交付には紙の書類としての他に、最近では電子マニフェストの利用者が増えてきています。

しかし電子マニフェストを利用していても、さまざまなお悩みを抱えている排出事業者の方が多いのではないでしょうか?

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