産業廃棄物の処理を収集運搬業者や処分業者に委託する際、産業廃棄物マニフェストの交付が必ず必要になります。
交付された産業廃棄物マニフェストは期限内に返却管理をしなければならない書類でもあるので、その運用や管理はとても大変です。
また、産業廃棄物マニフェストは、一定期間の保管期間が定められていますが、なかには紛失してしまう方もいます。 そこで今回は、産業廃棄物マニフェストを正しく利用するために以下のことを説明する内容となっております。
産業廃棄物のことについて詳しく知りたい方や、運用・管理にわずらわしさを感じている方に役立つ内容になっているのでぜひ参考にしてみてください。
産業廃棄物マニフェストとは?なぜ必要なの?
産業廃棄物処理におけるマニフェストとは「産業廃棄物管理表」のことです。
産業廃棄物の収集・運搬や処理を委託するときに必要になる書類のひとつで、基本的には産業廃棄物の処理を行う際は排出事業者がマニフェストを作成して、処理業者に交付します。
なぜマニフェストが必要なのかというと、産業廃棄物の処理を誰から委託されて、どのように処分されたのが追跡できるようにするためです。
これは仮に不法投棄があった場合に、責任の所在を明らかにするためです。
廃棄物処理法 第3条第1項において、事業者はその事業活動に伴って生じた廃棄物を自らの責任において適正に処理しなければならないと定められているので、不適切な処理がされていると、排出事業者にも罰則が科せられます。
そのため産業廃棄物の処理を委託するときは、マニフェストを処理業者に交付して、正しく処分されたのか追跡できるようにしておく必要があります。
産業廃棄物マニフェスト運用の流れと注意点
マニフェストは紙の書類と、電子データの2種類があります。
紙のマニフェストの場合は最終処分まで各工程で発行します。
紙のマニフェストは複写式になっており、以下の7枚綴りになっています。
- A票
- B1票
- B2票
- C1票
- C2票
- D表
- E表
各マニフェストは排出事業者、収集運搬業者、処分業者のそれぞれが記載する必要のある事項があります。
また、マニフェストには排出事業者が産業廃棄物の処理を委託する際に交付する「1次マニフェスト」と、中間処分業者が処分後の廃棄物を更に最終処分業者などに処分を委託する際に交付する「2次マニフェスト」があります。
1次マニフェストと2次マニフェストの運用方法は基本的に同じで、気をつけるべきは保管期間と返却期限を守ることです。
ここからは産業廃棄物マニフェストの保管期間と返却期限について解説していきます。
マニフェストの保管期限
産業廃棄物マニフェスト運用方法 | ||
排出事業者 | A票(排出時の控え) | 排出時に記入して収集運搬業者の受領サインの後に、A票のみを切り取る |
---|---|---|
B2票(運搬終了の確認) | 収集運搬業者が運搬を完了したら届く | |
D票(処分終了の確認) | 中間処理業者が処分を完了したときに届く | |
E票(最終処分終了の確認) | 最終処分が完了したときに届く | |
収集運搬業者 | B1票(運搬終了の自社控え) | 運搬終了時に終了年月日を記載して、B1票とB2票を切り取る B2票は排出事業者に送付する |
C2票(処分終了の確認) | 中間処理業者が処分を完了したときに届く | |
中間処理業者 | C1票(処分終了の自社控え) | 処分終了時に終了年月日を記入して、C1票、C2票、D票を切り取る C2票は収集運搬業者、D票は排出事業者に送付する |
発行したマニフェストのうちA票は交付の日から5年間保管し、その他のマニフェストは送った日、もしくは受け取った日から5年間保管することが義務づけられています。
しかし、A票以外の各マニフェストが排出事業者の手元に戻ってくるタイミングにばらつきがあるので、この5年間というのは最後のマニフェストE票が返送されてきた日から5年間にしておくと良いでしょう。
マニフェストの返却期限
産業廃棄物マニフェストは、種類ごと、運搬車ごと、運搬先ごとに作成することになります。
「このマニフェストのなかには、排出事業者へ返送する必要があるものもあるので、以下の定められた返送期限まで返送する必要があります。」
- B2票(積替えがある場合はB4票・B6票も)…交付の日から90日以内
- D票…交付の日から90日以内(特別管理産業廃棄物の場合は60日以内)
- E票…180日以内
もしこの期限までに返送されない場合には、排出事業者は処理業者に問い合わせて処理の状況を把握する必要があります。
紛失時に再発行はできる?
産業廃棄物マニフェストは、「各業者に交付して返送されるものもある他に、5年間保管しなければならないので紛失してしまうこともあるでしょう。」
しかし、産業廃棄物マニフェストの再発行は原則として認められません。
その理由は、再発行してしまうと同じマニフェストが2つ存在することになり、そのうち1つが紛失によってどのようの処理されたのかがわからない状態になると不法投棄になるからです。
では産業廃棄物マニフェストを紛失してしまったらどうしたらいいのでしょうか。
以下の記事で詳しく解説しているので、ぜひ参考にしてみてください。
産業廃棄物マニフェストの保管期間は?A〜E表それぞれを紛失した場合の対処方法
産業廃棄物マニフェストの内容と書き方
排出された産業廃棄物が適正に処理されていることを確認するために、産業廃棄物マニフェストでは以下の表にある内容を正しく記入して、各業者へ交付します。
項目 | 内容 | |
1 | 交付年月日 | マニフェストを交付した日付 |
2 | 交付番号 | マニフェストの交付番号 |
3 | 交付担当者 | マニフェストを交付した担当者の名前 |
4 | 排出事業者 | 排出事業者の氏名または名称、住所、電話番号 |
5 | 排出事業場 | 排出場所の名称、所在地、電話番号 |
6 | 産業廃棄物の種類 | 排出する産業廃棄物の種類にチェックを入れる |
7 | 数量 | 排出する産業廃棄物の数量を記入する 単位「kg」や「㎥」「車」など必要に応じて記載 |
8 | 荷姿 | 「バラ積み」や「フレコンバッグ入り」など記入 |
9 | 最終処分の場所 | 最終処分予定の場所 |
10 | 運搬受託者 | 運搬を受託鶴週収集運搬業者の名称 |
11 | 運搬先の事業場 | 契約している処分業者の事業場を記入 |
12 | 処分受託者 | 契約している処分業者の名称 |
13 | 積替え又は保管 | 積替保管を行う場合のみ記入 |
14 | 中間処理産業廃棄物 | 中間処理業者が残さ物を処理委託する際は記入 1次マニフェストの場合は斜線を入れる |
上記16項目は法定記載事項となっておりひとつでも記入漏れがあると正式なマニフェストとして認められないので注意が必要です。
また、下記事項については法定記載事項ではないですが、適正処理のためにも記載した方が望ましいでしょう。
1 | 産業廃棄物の名称 | 廃棄物の概要を記載 例)廃タイヤ、業務用冷蔵庫など |
2 | 有害物質等 | 有害物質が含まれていれば記入 |
3 | 処分方法 | 「粉砕」「切断」「圧縮」など 産業廃棄物の処分方法を記入 |
産業廃棄物マニフェストは電子マニフェストが便利
前述したように、産業廃棄物マニフェストには紙の書類としてのマニフェストと、電子データのマニフェストの2種類が存在しています。
最近では電子マニフェストが普及してきており、多くの業者が取り入れています。 ここからは産業廃棄物マニフェストを電子データで管理・運用するメリットについて、弊社の廃棄物総合管理システム「Wing」の機能を含めて解説していきます。
電子マニフェストとは?
電子マニフェストは、1998年12月より運用開始された比較的新しい仕組みで、産業廃棄物マニフェストの情報を電子化することで、ネットワーク上で管理し、業務の効率化と確実性を向上させる新しい仕組みです。
また2020年4月1日より、前々年度の特別管理産業廃棄物(PCB廃棄物を除く)の発生量が年間50トン以上の事業場を設置している排出事業者は、紙のマニフェストではなく電子マニフェストの使用が義務づけられました。
産業廃棄物の電子マニフェストは、廃棄物処理法第13条の2の規定に基づいて、公益財団法人日本廃棄物処理振興センターが情報処理センターとして指定されています。
そのため電子マニフェストを運用するためには、日本廃棄物処理振興センターが運営する電子マニフェストシステム「JWNET」へ加入する必要があります。
最後に、自社が電子マニフェスシステムに加入していても、取引先の排出事業者や収集運搬業者、処分業者が加入していなければ電子マニフェストを利用できないので注意が必要です。
電子マニフェストのメリット
- 事務処理の効率化
- 法令順守とミスの防止
- データの透明性
- 保管不要
産業廃棄物マニフェストを電子マニフェストにすることで、上記4つのメリットがあります。
まず紙の産業廃棄物マニフェストは、ひとつひとつ手書きで記入する必要がありましたが、電子マニフェストであればパソコンで入力できるようになります。
次に、必ず入力しなければならない項目はシステム上で管理することができるので、法律を守りながら記入漏れやミスを防ぐことが可能。
終了報告の期限が迫ると自動アラートで通知される仕組みになっているので、返送期限を守ることができます。
また、法改正などで書式変更などがあった際は、現在のルールに適応した書式に改善提案することも可能。
電子マニフェストは廃棄物の処理状況をリアルタイムで確認することができるだけではなく、パソコン、タブレット、スマートフォンのどの端末からも確認することができます。
最後に紙の産業廃棄物マニフェストは5年間の保管期間が定められているので、膨大な量のマニフェストの保管スペースを確保する必要があります。
しかし電子マニフェストは情報処理センターが保管するので、保管スペースの確保や管理が不要になります。 これによって紛失のリスクを最小限にとどめることもできるので、万が一に備えること可能です。
JWNETに連動した廃棄物管理システム「Wing」を同時にご利用いただくと更なるメリットをご提供することが出来ます。
産業廃棄物マニフェストを電子データ化して運用・管理したとしても、ちょっとしたわずらわしさを感じる瞬間があるでしょう。
- 各種許可証の更新
- 各行政への問い合わせ
- CSRレポートの作成
- 契約書管理など
このような小さなストレスは、弊社の経験豊富なスタッフがサポートいたしますのでご安心ください。
弊社の廃棄物総合管理システム「Wing」は、これまで業種・業界を問わずに約1,500社の企業様でご利用いただいております。
全国規模で廃棄物の一元管理に対応が可能。
簡単なシステム操作のため、排出事業者様や廃棄物業者様からご好評いただいております。 詳細やご不明点があれば、気軽にお問い合わせください。
まとめ
産業廃棄物マニフェストは、紙の書類として作成するのであれば5年間の保管期間が定められており、処理業者より返送されるものもあります。
また5年の保管期間のなかで、万が一紛失した場合は原則として再発行ができません。
そのため最近では、電子マニフェストが普及してきています。
弊社の廃棄物総合管理システム「Wing」は、全国規模で廃棄物の一元管理が可能になっており、弊社の経験豊富なスタッフがサポートいたしますので、業種・業界を問わずにご好評いただいております。 「Wing」の詳細やご不明点は、気軽にお問い合わせください。
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