わたしたちの身近なものには、木、金属、ガラスなど、ひとつのものにさまざまな素材が使用され構成されています。

産業廃棄物の中でも複数の種類が混ざり合う場合は混合廃棄物と呼ばれ、各種さまざまな取り扱いが求められます。

マニフェストの運用方法や運搬方法、処理方法などどうなるのでしょうか?

今回は、産業廃棄物の「混合廃棄物」について以下のことが分かる内容になっています。
  • 混合廃棄物とは?
  • 混合廃棄物の処理方法
  • 混合廃棄物を排出する際のマニフェスト
  • 混合廃棄物の種類と具体例
  • 混合廃棄物の処理費用と節約方法
  • 混合廃棄物の運搬方法
  • まとめ
混合廃棄物についてよくわかる内容になっているので、ぜひ最後まで読んでみてください!

混合廃棄物とは?

産業廃棄物とは、燃え殻や汚泥・廃油・廃酸・廃プラスチック類・紙くず・木くず・金属くず・繊維くず・がれき類など、廃棄物処理法で定められた20種類の廃棄物の事を指します。

種類ごとに分別し、正しい処理を施さなくてはなりません。

複数種類に混在し、分別が難しい廃棄物を、混合廃棄物といいます。

混合廃棄物の処理方法

産業廃棄物の処理責任は、排出する事業者にあります。

処理は委託業者へ任せることが多く、混合廃棄物の場合は慎重に委託業者を選ぶ必要があります。

許可を持たない業者へ処理を依頼するなどすると罰則や行政処分の対象となる為、注意が必要です。

処理業者によって、許可を持つ廃棄物の種類が異なるため、混合廃棄物の処理を委託する際は、混ざり合う全ての種類を扱うことができる業者を選定する必要があります。

処理委託契約を交わす際は、業者の許可証を確認し委託することが重要です。

混合廃棄物を排出するときのマニフェスト

産業廃棄物の処理にはマニフェストの発行が義務づけられていますが、原則としてマニフェストはひとつの産業廃棄物の種類に対して1部ずつ発行を行います。

しかし、混合廃棄物の場合だとさまざまな種類の産業廃棄物が混在する中で、ひとつひとつの種類ごとにマニフェストを発行すると手間がかかります。

混合廃棄物は分別できない状態の産業廃棄物となるため、1つの産業廃棄物となり発行するマニフェストも1部にまとめることが可能です。

混合物のマニフェストは、1部のマニフェスト内に該当するすべての廃棄物の種類にマークをし、内訳に記載する必要があります。

義務ではありませんが、自社がどんな産業廃棄物を排出して処理を委託したのかわかるように、産業廃棄物の名称も記入しておくと管理が楽になりますね。

混合廃棄物の種類と具体例

身近な廃棄物のなかに、混合廃棄物があります。

例えば部屋のドア1枚を見ても、「木くず」「ガラス」「金属」などで作られています。

ドア一枚廃棄しようとしても、このようにさまざまなものが混ざっていれば混合廃棄物として扱われますが構成される種類によっては、処分場が異なります。

そこで混合廃棄物は主に3種類に大別されています。

それぞれの分類ごとの特徴を見ていきましょう。

1.安定型混合廃棄物

安定型混合廃棄物とは有害物質や有機物の付着がなく、環境に悪影響を及ぼす可能性が低い廃棄物のことをいい「安定型最終処分場」で埋め立て処理できる廃棄物のことです。

安定型最終処分場の決定は自治体が行うものとなっています。

具体例として、以下のような産業廃棄物があげられます。
  • 廃プラスチック類
  • ゴムくず
  • 金属くず
  • ガラスくず
  • コンクリートくず・陶磁器くず ※石膏ボードは管理型品目に該当
  • がれき類 
上記の種類が混ざり合った混合廃棄物は安定型混合廃棄物と呼ばれ、安定型最終処分場に運んで処理することが可能です。しかし、上記以外の廃棄物が混ざっている場合は処理することができません。

2.管理型混合廃棄物

管理型混合廃棄物とは、埋め立て後に腐敗や分解などの性質変化を起こす可能性があり、成分が溶出した際に地下水を汚染するリスクがある廃棄物のことを指します。

具体例として、以下のような産業廃棄物があげられます。
  • 燃え殻
  • 汚泥
  • 廃油
  • 紙くず
  • 木くず
  • 繊維くず
  • 動植物残さ
  • 動物性固形不要物
  • 鉱さい
  • 廃酸
  • 廃アルカリ
  • 動物のふん尿
  • 動物の死体
  • ばいじん
これら混合廃棄物は「管理型最終処分場」で埋め立て処理されます。

有害物質が基準値を超えて含まれる混合廃棄物が対象で、99%が安定型混合廃棄物であっても、1%が管理型産業廃棄物に該当する物質を含む場合は、管理型産業廃棄物として処理を行います。

3.建設型混合廃棄物

建設現場では混合廃棄物が多く排出され、建設現場で排出される混合廃棄物は「建設混合廃棄物」として分類されます。

具体例として、以下のような産業廃棄物があげられます。
  • がれき類
  • 木くず
  • プラスチック類
  • 金属くず
  • ガラスくず、陶磁器くず
  • ゴムくず
  • 紙くず
混合廃棄物の内容によっては、安定型建設系混合廃棄物や、管理型建設系混合廃棄物とより細かく分類することも珍しくありません。
安定型建設系混合廃棄物の具体例管理型建設系混合廃棄物の具体例
合成樹脂(廃プラスチック)
天然ゴム(ゴムくず)
鉄骨鉄筋くず(金属くず)
金属加工・足場パイプ(金属くず)
陶磁器くず(ガラスくず)
耐火レンガ(ガラスくず)
コンクリート(がれき類)
アスファルト(がれき類)
レンガ破片(がれき類) など
左記以外のものを含む建設混合廃棄物
前述したように、建設混合廃棄物は「建設現場で排出された混合廃棄物」のことなので、建設現場で排出されていない混合廃棄物は建設混合廃棄物ではありません。

この場合の混合廃棄物は、安定型混合廃棄物。あるいは、管理型混合廃棄物として処理します。

産業廃棄物の処理費用と節約方法

混合廃棄物は、混ざり合っているすべての種類の廃棄物を処理できる業者に委託して処理を行う必要があります。

そのため細かく分別した産業廃棄物の処理費用に比べてやや費用がかかりますが、工夫すれば処理費用を安く抑えることも可能です。

ここからは、混合廃棄物の処理費用と削減する方法を紹介していきます。

混合廃棄物の処理を依頼する方法

少しでも異なる素材が混ざっていれば産業廃棄物ではなく混合廃棄物として処理します。

例えば、廃プラスチックだと思って処理をしたけれど、実際には金属が混入しており処理方法から委託方法すべてを変える必要が出た。

このようなことになりかねません。

「混合廃棄物かもしれない」と思ったら、まずは行政や取引のある業者に相談して、その産業廃棄物が混合廃棄物に該当するか確認してみましょう。

少し面倒かもしれませんが、そうしないと「処理不可」となってしまい、改めて別の業者に依頼する二度手間が発生してしまいます。

余計な費用と時間をかけることになるので、少し面倒でも事前に確認しておくことが大切です。

混合廃棄物の処理費用

混合廃棄物の処理費用は処理業者によって異なりますが、一般的には㎥単位若しくは㎏単位で計算します。

回収した混合廃棄物が分別できる状態で、金属くずなどリサイクルできるものを含む場合は、処理費用が安くなることも多くあります。

費用を知りたい場合は必ず事前に見積もりを出してもらいましょう。

処理費用を安く抑える方法

混合廃棄物は可能な限り分別することでリサイクルすることができるケースもあり、業者によっては有価物として売却することができます。

代表的なリサイクルできる産業廃棄物に金属があります。

金属は貴金属の他に、鉄や銅、アルミなどの一般的な金属も売却できる可能性があるので、そのまま処理するとお金がかかるのに対して、有価物として売却すれば収入につながるケースがあります。

古紙類や単一素材のプラスチック類(PPバンドやストレッチフィルム等)も同様です。

混合廃棄物のなかには、特別な機械を使わなくても人力で分別することができることもあります。

細かく分別することで、処理費用も安く抑えることができ、年間で換算するとかなりの金額を削減することにつながります。

有価物として取り扱いも可能であるが、輸送費が上回るケースもあるかと思います。

輸送費のほうが高くなってしまった場合は「到着時有価物」として扱うことも可能です。

到着時有価物については、以下の記事で詳しく解説しているのでぜひ参考にしてみてくださいね。
参考記事:到着時有価物とは?注意点や産業廃棄物マニフェストの作成方法を解説

複数の産業廃棄物の混載は可能?

混合廃棄物は、素材の性質ごとに安定型混合廃棄物、管理型混合廃棄物、建築混合廃棄物の3つにわけられることがわかりました。

では、この混合廃棄物を各処理場まで運ぶ車両は、複数の混合廃棄物を乗せる「混載」は認められているのでしょうか?

例えば汚泥や廃油、廃液などをタンクローリーで回収して処分場に運ぶまでに、複数の排出者の廃棄物を混載することがあります。

これは輸送効率を上げて目的地へ運搬するもので、産業廃棄物の混合はあたりまえに想定されています。

廃棄物処理法施行規則第8条の4の2第1項第5項は、積替保管場所において、安定型廃棄物と管理型廃棄物を混合する場合には、排出事業者の承諾を必要としています。

なぜなら、安定型廃棄物が管理型廃棄物と混合されることで、委託基準違反に問われてしまうリスクがあるからです。

そのため混合物の処理を委託する場合は、安定型廃棄物と管理型廃棄物と混載するのか確認しておくことも大切です。

まとめ

分別できない状態の産業廃棄物を「混合廃棄物」と呼びますが、混合廃棄物には「安定型混合廃棄物」「管理型混合廃棄物」「建築混合廃棄物」の3つがあります。

これら混合廃棄物はさまざまな素材が混ぜ合わさっている産業廃棄物ですが、発行するマニフェストは1部で構いません。

廃棄物の種類の欄で該当する複数の項目にチェックを入れるか、廃棄物の一般的な名称を記載します。

もし混合廃棄物を分別できるのであれば、分別してリサイクルしたほうが処理費用を抑えることができるだけではなく、収入源にもなります。

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