一般社団法人 プラスチック循環利用協会が公表している資料によると、廃プラスチック類は824万トン排出されており、そのうち87%がリサイクルすることが可能ということがわかります。


今や現代のわたしたちの暮らしにプラスチック製品は日常生活でとても近い存在で、その反面ペットボトルやポリ袋などは多様される分ポイ捨てされていることも多く、数々の問題を抱えています。

そこで今回は、廃プラスチック類の処理方法に関して以下のことがわかる内容になっています。


産業廃棄物の廃プラスチック類の処理方法についてよくわかる内容になっているので、ぜひ最後まで読んでみてください。


参照:プラスチック製品の生産・廃棄・再資源化・処理処分の状況(マテリアルフロー図)を公表 |プラスチック情報局|一般社団法人 プラスチック循環利用協会

プラスチックとは石油を原料にして人工的に作られた合成樹脂のことです。


プラスチックは熱を加えることに自由自在に形を変えられるため、日常生活でもペットボトルや食品トレーなど、多種多様な容器や袋などの製品に使用されています。


そのプラスチックが産業廃棄物にて廃棄されるときは「廃プラスチック類」という分類に該当します。


産業廃棄物であれば、以下のような廃プラスチック類が代表的です。

  • コンテナケース
  • 発泡スチロール
  • 包装フィルム/ストレッチフィルム
  • PPバンド
  • ビニールシート
  • 廃タイヤ
  • 合成繊維くず 等

事業活動に伴って排出される産業廃棄物の廃プラスチック類のなかには、上記の他に従業員が休憩時間に食べたお弁当がらやペットボトルも廃プラスチック類に該当するとされています


しかし従業員が捨てたお弁当がらやペットボトルは直接事業活動には関係のない産業廃棄物なので、多くの自治体では一般家庭と同じく「一般系廃プラスチック類」として処理することができます


ただし、一部自治体では一般系廃プラスチック類として処理できない場合もあるので、詳しくは事業所所在地の自治体に問い合わせるか、自治体ホームページを確認しましょう。
※大阪市などでは洗っていない食品などが付着している弁当ガラは産業廃棄物として処理が必要とされています【2024年1月現在】

産業廃棄物は、一般家庭から排出される一般廃棄物と比べると多くの廃棄物を排出することになります。


産業廃棄物は20種類にわけられますが、そのなかでも廃プラスチック類は環境問題へ直接悪影響を与えることが懸念されており、適切な処理が求められています。

これまでリサイクルできない日本の廃プラスチック類は、主に中国本土へ輸出し処理を行ってきました。しかし平成4年に制定されたバーゼル法によって、これまでのように処理ができなくなります。


バーゼル法(特定有害廃棄物等の輸出などの規制に関する法律)とはバーゼル条約に対応する国内法のことで、2021年の改正によって基準に合わないPVCを含む廃プラスチック類が規制の対象となりました。


2017年12月末に中国が廃プラスチック類の輸出禁止を実施したのを皮切りに、2018年1月以降は、タイやマレーシア、台湾などでも規制され、世界中が環境問題へ取り組むようになったことで、日本は自国での処理が必要となりました。

ペットボトル、食品トレー、ビニール袋など、私たちの暮らしにプラスチックは欠かせませんが、その便利さの反面、適切に処理がなされなかったプラスチックごみが街に溢れている状況です。


ふと道路脇に目をやった時、ペットボトルやビニール袋などのプラスチックごみが投棄されているのは当たり前の光景になっているのではないでしょうか。


このように適切に処理されなかったプラスチックごみのうち、風や河川から海に流出するごみは800万トンにも及び、そのうち2〜6万トンが日本から発生したものと考えられています。


海に流出したプラスチックは、潮風や波などによって細かく砕かれ、5ミリメートル以下の「マイクロプラスチック」になります。このマイクロプラスチックの物理的な影響の事例として、サンゴと褐虫藻の事例が挙げられます。


サンゴと褐虫藻はお互いに共生関係で、褐虫藻はサンゴの排泄物から栄養を吸収し、サンゴが代謝した二酸化炭素と太陽の光で光合成を行い、サンゴの栄養となる有機物を作り出しそれをサンゴが吸収するとされていますが、マイクロプラスチックがサンゴに取り込まれることによって褐虫藻に供給されるべき栄養が不足し褐虫藻は減少、共生関係が崩れてしまいます。


その結果栄養のないマイクロプラスチックを摂取した褐虫藻は減少し、サンゴ自体の数が減少していくという問題につながっていきます。


また、魚がマイクロプラスチックを口にすることで、その魚を捕って食べる人間への悪影響も懸念されています。
参照:
環境省|廃プラスチックのリサイクル等に関する 国内及び国外の状況について
日本財団|【増え続ける海洋ごみ】マイクロプラスチックが人体に与える影響は?東京大学教授に問う

環境問題への懸念を抱える廃プラスチック類の処理は、信頼できる専門業者で処理することが大切です。


廃プラスチック類の処理は、「汚れていない単一素材のプラスチック類」はリサイクルや有価買取が可能な場合があり、「汚れているプラスチック類」は破砕・焼却、もしくは埋め立て処理されます。


ここからは廃プラスチック類の処理方法について紹介していきます。

マテリアルリサイクルは、廃プラスチック類を再びプラスチック製品にリサイクルする方法です。


「材料リサイクル」とも呼ばれていて、以下のものにリサイクルされます。

  • 作業着
  • ユニフォーム
  • シャツ
  • トレー
  • 文具
  • 洗剤用ボトル
  • 飲料用ボトル
  • パレット
  • コンテナ
  • ベンチ
  • フェンス
  • 遊具
  • 建設資材 など

一般社団法人 プラスチック循環利用協会が2023年に公表した資料によると、マテリアルリサイクルは2番目に多いプラスチックのリサイクル方法で、その割合は国内総排出量の約2割程度です。

ケミカルリサイクルとは、廃プラスチック類を科学的に分解するなどして、化学原料にリサイクルする方法です。

  • ボトルtoボトル(ボトルからボトルへのリサイクル)
  • 製鉄所で使う還元剤
  • 生成油、燃料
  • コークス、炭化水素油、コークス炉ガス
  • 水素、メタノール、アンモニア、酢酸などの化学工業原料や燃料

上記のように、「原料・モノマー化」「高炉原料化」「コークス炉化化学原料化」「ガス化」「油化」の5つの方法でリサイクルされます。


ケミカルリサイクルはプラスチック総排出量のうちリサイクルされるもので約3%程度の処理方法です。

サーマルリサイクルとは、廃プラスチック類を固形燃料にしたり、焼却処理で発生したエネルギーを回収したりするリサイクル方法です。


「エネルギー回収」とも呼ばれていて、廃プラスチック類のリサイクル処理のなかで約60%と半数以上を占めています。

  • RPF(固形燃料)化
  • セメント製造時の原燃料化
  • 温水(温水プール・浴場)、暖房、電機など

サーマルリサイクルでは「固形燃料化」「セメント原・燃料化」「ごみ焼却熱利用・発電」の3つの方法でリサイクルされます。


しかしサーマルリサイクルには、プラスチック製品を一度しか利用できないことの他に、燃料による二酸化炭素や有害物質の発生などの問題点を抱えています。そのため、今後はマテリアルリサイクルやケミカルリサイクルの割合を増やし、環境に配慮しながら確実にプラスチックをリサイクルすることが理想的です。

廃プラスチック類はリサイクルできる産業廃棄物なので、金属くず・鉄スクラップなどのように分別などを行えば有価買取での対応が可能なケースが御座います。


廃プラスチックの買取価格は、国内外の情勢によって大きく変動します。


例えば2024年1月時点では、中東の緊張激化とリビアの供給混乱、アメリカのシェールガス供給急増、紅海地域でのフーシ派攻撃による供給困難など直面している情勢などにも影響を受けます。


廃プラスチックの買取業者によっても買取価格が当然変動します。また売却益では運賃や人件費が賄えないことなどから買取に応じていないこともケースも珍しくありません。

最後に、洗浄しても汚れが落ちない廃プラスチック類などの一部の廃プラスチック類はここまでで紹介した廃プラスチック類の埋め立て処理に関しては、最終処分場の残余年数の逼迫(ひっぱく)や環境汚染の問題を抱えており、できれば避けたい処理方法です。

参照:産業廃棄物の最終処分場の種類は?約20年後には埋め立てできなくなる?問題と課題そして解決策は…?産業廃棄物の最終処分が抱える問題とは


廃プラスチック類をリサイクルせずに処理するとコストがかかる上に、日本政府がプラスチックの削減及びリサイクルを促進している現状を考えると、可能な限りリサイクルすることが望ましいと言えます。

廃プラスチック類を処理する場合、どのようなリサイクル処理であっても契約書の締結が必要となります。
参照:全国産業資源循環連合会|産業廃棄物処理委託契約

契約書を締結するにあたり、産業廃棄物として処理を行う場合は適切な収集運搬業・処分業の許可を持った業者を選定する必要があります。有価買取にて処理を行う場合であっても売買契約書などの締結が必要となります。


産業廃棄物と有価買取の違いについてはこちらをご確認ください。
産業廃棄物と有価物の違いは?~なぜ廃棄物のリサイクルが必要なのか~

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産業廃棄物の廃プラスチック類は輸出問題や環境問題を抱えた廃棄物なので、適切な処理が求められます。


可能な限りリサイクル業者を利用して再利用することが理想です。


廃プラスチック類を産業廃棄物として処理する際には契約書の締結やマニフェストの発行が必要です。


電子マニフェストを活用すればマニフェストに関する保管業務や処分状況の確認、紛失のリスクが無くなります。

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