産業廃棄物業界では「逆有償」と呼ばれる「到着時有価物」の場合も、契約書の締結やマニフェストの発行が必要なのをご存じでしょうか?通常の産業廃棄物の収集運搬・処分とは異なるので、「どんな手続きが必要なの?」と感じた方は、ぜひこの記事を参考にしてみてください。 到着時有価物について以下のことがわかる内容になっています。
- 到着時有価物とはそもそも何?注意点や問題について
- 到着時有価物の産業廃棄物マニフェストの作成方法を解説
目次
到着時有価物とは?産業廃棄物マニフェストは必要?
有価物を輸送する際、売却代金を輸送費用が上回ることが発生することがあります。この際は排出事業場から処分場までの輸送は”産業廃棄物”として扱い、処分場に引き渡した時点で有価物として扱うものこれらを”到着時有価”と総称して呼びます。このようなケースを「逆有償」と呼ぶこともあり、有価物であっても廃棄物処理法が適応されます。この際、輸送時は”産業廃棄物”として取り扱いしている為、原則マニフェストの交付が必要となります。 記事:産業廃棄物と有価物の違い
排出事業場から有価物の買取先までの距離が遠く、買取する有価物の排出量が少量である場合やプラスチックのようなに見た目に多くても重量が軽く、売買金額も剥離となる場合は有価物として対価より運搬費が上回るケースなどがそれにあたります。
到着時有価物も「マニフェスト」が必要
到着時有価物は、前述に記述した通り、売却されるまでは産業廃棄物として扱うのでマニフェストが必要となります。 到着時有価物は排出側が処理側に有価物として産業廃棄物を売却した場合、その産業廃棄物は有価物と判断される為、本来であれば廃棄物処理法の対象外になります。 ただ廃棄物処理法の脱法行為や、不適正な処理、不法投棄につながってしまう恐れがあるので、行政などは取引が有償なのか、それとも逆有償なのかを重視します。 到着時有価物は、前述したように運搬中は産業廃棄物として扱われるのでマニフェストを発行します。 売却先に引き取られてからは有価物になるので、必要なマニフェストはA票〜B2票までとなります。
到着時有価物の注意点
到着時有価物の問題点として、排出事業者がその排出物を産業廃棄物ではなく有価物と認識していたときにトラブルが起こりやすくなる点があげられます。 産業廃棄物であれば当然廃棄物処理法の対象になるので、この場合は収集運搬委託契約やマニフェストが必要になります。 しかし排出事業者がその廃棄物を有価物だと認識していた場合は、収集運搬委託契約やマニフェストを用意することはないでしょう。しかし実際には有価物として買取できなければ産業廃棄物として処理されるので、罰せられてしまう恐れがあります。委託する業者様と内容を詰めた上で処理する必要性がございます。 市況変動し有価物としての価値が変動したり、何かの理由が起因となり運搬時の積載量が減ったりすると、知らず知らずの間に売却額よりも運搬費や処理費のほうが高くなってしまうケースも。 また到着時有価物の狙いは「無許可業者による運搬と収集を防止する」ということもあるので、排出事業者は産業廃棄物収集運搬業者の許可証を確認して、信頼できる業者に委託する必要があります。 このときに無許可業者に依頼してしまうと、「料金的には魅力的だけれども適切に処理されずに不法投棄されてしまった」ということになりかねません。 産業廃棄物は、排出事業者が産業廃棄物を最後まで適切に処理する義務があるので、違反すると行政処分や刑事罰の対象になる可能性があります。
到着時有価物で必要となるマニフェスト
この”到着時有価物”に対するマニフェストはどのように発行すればいいのでしょうか? ここからは、紙のマニフェストと電子マニフェストの両方で、到着時有価物のケースの作成方法を紹介していきます。
紙のマニフェストの場合
到着時有価物は、売却先に到着した時点で産業廃棄物ではなくなるので、マニフェストの記載項目「産業廃棄物の処分受託者」は存在しないことになります。 そのため必要なマニフェストは、A票、B1票、B2票のみで、C票以降は不要となります。 しかし、マニフェストを管理する際は処分受託者の欄に到着時有価物の引き取り側の情報を記入しておき、この取引が到着時有価物の取引だとわかるようにしておいたほうがいいでしょう。 法的義務はないので空欄にしておいても問題ありませんが、管理しやすくなるというメリットがあります。 また「処分の受託」の欄は、本来は排出事業者や収集運搬業者が記入すべき項目ではないので、売却先に記入してもらうことをおすすめしますがこちらも法的義務はありません。
電子マニフェストの場合
電子マニフェストの場合も、紙のマニフェストと同じくA票とB1票、B2票のみ発行します。 電子マニフェストはシステム上で「報告不要業者設定」を行うことで、収集運搬や処分の終了報告が不要になります。 到着時有価物の電子マニフェストを発行する際は、「処分業者(引き取り側)」欄に事前に登録した「報告不要業者」を選択し、処理後は収集運搬後まで産業廃棄物の扱いになるので、運搬会社から終了報告を確認します。 運搬終了報告がされたと同時に自動的に処分と最終処分が終了したことになるので、紹介画面上では運搬・処分・最終処分の全てに「●」が付きます。 しかし、到着時有価物は自社運搬の場合、電子マニフェストを発行することができません。 この場合は、 1. 収集運搬終了報告が不要であること 2. 搬入先が報告不要業者で処分終了報告が不要になること 上記2点によって運搬と処分の終了報告が不要になるので、マニフェストを発行しなくても問題ありません。
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まとめ
到着時有価物とは、有価物の輸送費が売却代金を上回る場合に、排出事業場から処分先までの輸送中は産業廃棄物として扱い、処分先に到着して引き渡した時点で有価物として扱うことです。 運搬中は産業廃棄物として扱うので、到着時有価物でもマニフェストの発行が必要です。 しかし処分先に到着し、引き渡されたら有価物として扱うので、必要となるマニフェスト伝票はA票、B1票、B2票のみとなります。 電子マニフェストの場合も同様で、事前に「報告不要業者設定」を処分先(引き取り側)にすることで対応可能です。 しかし収集運搬までは産業廃棄物として扱うので、運搬会社からの終了報告を確認する必要があります。 運搬終了報告がされたと同時に、自動的に処分と最終処分が終了したことになるので、紹介画面では運搬、処分、最終処分の全てに「●」が付きます。 弊社の「Wing」でも同様に設定することが可能で、廃棄物管理業務の煩わしさを解消できる総合パッケージになっております。 お問い合わせはメール・お電話で承っておりますので、気軽にお問い合わせください。