産業廃棄物を排出する排出事業者は、大きく分けて「適正処理」「委託基準」「マニフェストの発行」の3つの義務を負います。

その中でもマニフェストはケースバイケースで記載事項が異なるので注意が必要です。

マニフェストを少し間違えただけでも違反となってしまうので、第三者機関に委託・アウトソーシングしている場合でも、排出事業者が記載事項を確認するようにして下さい。

そこで今回は、特に間違えやすい複数の産業廃棄物を排出するときのマニフェストの扱い方について以下のことを紹介していきます。

  • そもそも排出事業者とは誰なのか?排出事業者の5つの義務
  • 複数の産業廃棄物を排出するときのマニフェストはどうすればいいの?2つの事例
  • マニフェスト発行は排出事業者がしっかりチェックしよう!

複数の産業廃棄物をどうやって管理すれば良いのか、事務処理に悩んでいる方に役立つ内容になっているので、ぜひ最後までご参考ください!

産業廃棄物の排出事業者はだれのこと?排出事業者が負う5つの義務とは?

産業廃棄物を排出する事業者(排出事業者)は、廃棄物処理法に基づき、いくつかの重要な義務を負っています。以下にその主要な義務をまとめます。

1. 自己処理の義務

排出事業者は、事業活動に伴って生じた廃棄物を自らの責任において適正に処理しなければなりません(廃棄物処理法第3条第1項)。これは、廃棄物の処理が適正に行われることを確保するための基本的な義務です。

2. 委託処理の基準遵守

自ら処理できない場合、排出事業者は都道府県知事や市長が許可した産廃処理業者に処理を委託することができますが、その際には以下の基準を守る必要があります。

  • 許可を受けた業者に委託すること
  • 書面による委託契約を締結すること
  • 委託内容が業者の許可内容と一致していること

3. マニフェスト制度の遵守

排出事業者は、産業廃棄物の処理を委託する際に、産業廃棄物管理票(マニフェスト)を交付し、処理の流れを管理・確認する義務があります。マニフェストは以下のように管理されます:

  • 交付されたマニフェストは5年間保存すること
  • 処理業者から返送されるマニフェスを見て廃棄物が適正に処理されたことを確認すること

4. 最終処分までの注意義務

排出事業者は、産業廃棄物の最終処分が終了するまでの一連の処理が適正に行われるように必要な措置を講じる義務があります。これは、処理業者に委託した場合でも、排出事業者の責任が免除されないことを意味します。

5. 適正処理の確認と報告

排出事業者は、処理業者からの通知(処理困難通知、事業の廃止通知、許可の取消通知など)を受けた場合、速やかに処理状況を把握し、適切な措置を講じる必要があります。また、マニフェストの交付状況を年次報告する義務もあります。

※電子マニフェストの場合交付等状況報告書の提出は必要なくなります。

罰則

これらの義務に違反した場合、排出事業者には罰則が科せられます。例えば、委託基準違反やマニフェストの不交付、虚偽記載などに対しては、懲役刑や罰金が科せられる可能性があります。

これらの義務を遵守することで、排出事業者は産業廃棄物の適正な処理を確保し、環境保全と公衆衛生の向上に寄与することが求められています。

次の項目では、特に間違えやすい複数の産業廃棄物を排出するケースについて、2つの事例を交えながらマニフェストの発行方法について解説していきます。

複数品目の産業廃棄物を排出する場合は?2つの事例を確認しよう

産業廃棄物管理票(マニフェスト)は、収集運搬や処理を実施するたびに発行することが原則として定められています。

しかし産業廃棄物にはさまざまな種類があり、実際に廃棄物を収集運搬・処理を実施する状況に応じて異なるマニフェストの発行方法も認められることがあるのでチェックしておきましょう

そこでここからは、産業廃棄物マニフェストで複数品目の廃棄物を一度に収集してもらうケースで、マニフェストを交付するのは1部でいいのかを解説していきます。

処理業の許可範囲が異なる場合

例えば、廃油と廃プラスチック類を収集運搬業者に引き渡す場合で、1台のトラックで複数品目の産業廃棄物を同じ処理業者に委託するケースを紹介しましょう。

同じ処理業者に廃油と廃プラスチック類を委託する場合でも、処理業の許可範囲が異なればマニフェストの発行がそれぞれ必要になります。

なぜなら、産業廃棄物の許可は廃棄物の種類ごとに出されており、処理方法が廃棄物の種類に応じて異なるからです。

この他に似たケースでは、1台のトラックが同じ排出元の会社の複数の拠点を巡回して産業廃棄物の収集運搬を行う場合、排出場所ごとにマニフェストを交付しなければなりません。

運搬先が複数になる場合

1台のトラックで複数品目の産業廃棄物を収集運搬する場合で許可範囲外であれば原則としてマニフェストの発行がそれぞれ必要になります。

例えば、廃プラスチック類と食品残渣それぞれ異なる中間処理業者へ運搬される場合、マニフェストの交付先は運搬先ごとになります、この場合は2種類の産業廃棄物を処理することになるので、マニフェストも2部必要になります。

マニフェスト発行は排出事業者がしっかりチェックを!

産業廃棄物管理・処理業務は複雑で、専任担当者が居ても専門業者へ委託・アウトソーシングする事業者の方も珍しくありません。

特に前述したような複数の産業廃棄物を排出する場合は、マニフェストの交付を間違えてしまいやすいので注意が必要です。

マニフェストの発行や管理を第三者へ委託・アウトソーシングしている場合では、〝丸投げ状態〟になっていないか確認する必要があります。

排出事業者の義務を全うするためにも、マニフェストに記載された事項に相違ないことをしっかりと排出事業者が確認することはとても大切です。

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まとめ

排出事業者とは、事業に伴って産業廃棄物を排出する事業者・会社代表者を指します。

排出事業者は3つの義務を負い、そのなかでもマニフェストの発行においては状況に応じて適切に判断する必要があるので注意が必要です。

複数の産業廃棄物を排出するケースや運搬場所が複数発生するなどの場合は複数枚のマニフェストの準備が必要になります。

今回ご紹介した2つの事例を参考に、御社の産業廃棄物管理業務にお役立てください。