廃棄物と有価物の違いの判断に悩むケースが多いと思います。

「有価物は価値がある廃棄物」と理解していても、詳しいことについてはあまり知らない方が多いのではないでしょうか。社会にとって、不必要になったものや壊れたものがすべてゴミ(廃棄物)になるとは限りません。中には、専門業者が買取をしてくれるものがあるということをご存知でしょうか。

【不要なゴミだと思っていたのに他者にとっては価値がある】すなわち『有価物』である可能性があります。

産業廃棄物と有価物の違いやリサイクルの必要性について記載させていただきます。

産業廃棄物と有価物の違い

有価物と廃棄物の違いはどこにあるのでしょうか?産業廃棄物との違いをみてみましょう。

有価物は、有償で売却できるものとなり、自身や他人にとって価値があるものを意味します。不要になったものでも、金銭的に価値があるもの、例えば純金属品や古紙、電子機器などが挙げられます。

産業廃棄物は、事業活動に伴って生じる廃棄物のことで「占有者が自ら利用し、又は他人に有償で売却することができないために不要になった物」であり、基本的には運搬を含め処分するには費用がかかってきます。
リサイクルすることができれば、再び新しいものとして生まれ変わることができます。
また世界がSDGsの達成目標を掲げていたり、コスト削減取組を推進している現代では、できるだけ有価物としてリサイクルしたいと感じているのではないでしょうか。

有価物が「まだ価値が残っているもの」ということに対して、廃棄物とは「価値がないもの」ということになります。
例えば排水口に溜まった生ごみや、使用済みのティッシュペーパーなどで、廃棄することしかできないものは廃棄物です。
このような廃棄物のなかでも、事業活動に伴って排出される廃棄物は産業廃棄物となり産業棄物処理法によって20種類に分類されています。

詳しく知りたい方はこちらの記事も参考にしてください
20種類に分類される産業廃棄物の具体例を紹介

産業廃棄物と有価物はどうやって判断すればいいのか

法律では以下のように定められています。
【占有者の意思、その性状等を総合的に勘案すべきものであって、排出された時点で客観的に廃棄物として観念できるものではない。】いわゆる「総合判断説」で判断されます。
参照:廃棄物の処理及び清掃に関する法律の一部改正について

総合判断説には、「物の性状」「排出の状況」「通常の取扱い形態」「取引価格の有無」「占有者の意思」の5つの判断基準が設定されています。産業廃棄物か有価物の判断は、これら5つの要素を総合的に考慮し判断されます。4つの基準を完璧に満たしていても、廃棄物だと判断されることもあり、具体的な要件を満たしていないと思われても、有価物と認められるケースがあるのが現実です。なかなか判断は難しく、行政機関によっても判断が異なるところがありますので、廃棄物を排出する行政機関に確認した方が無難です。

判断項目具体的な項目
物の性状品質が利用用途に合っていて、飛散や流出、悪臭等がない
排出状況計画的に排出されていて、適切な保管や品質管理がなされている
通常の取扱い形態製品として市場が成立している
取引価格の有無受け取る側に対して有償で引き渡しされている
占有者の意思有者に適切な利用、または他人に有償で引き渡す意思がある

産業廃棄物として処理される場合は、リサイクルされることはない!?

前述したように、事業活動に伴って排出されていて、それでいてかつ汚泥や燃えがらなど法律で定められた20種類の廃棄物は産業廃棄物として処理をします。

この産業廃棄物は埋立や焼却処理をするイメージがありますが、実は多くの産業廃棄物がリサイクル処理されています。
【参照】廃棄物の再生利用率の推移|環境省

求められる産業廃棄物のリサイクルと現状

令和2年度の、日本における産業廃棄物の排出量は約3億7,382万トンと環境省のデータにございます。

【参照】産業廃棄物の排出及び処理状況等(令和2年度実績)について | 報道発表資料 | 環境省
この途方もない量の産業廃棄物は、前述した環境省のデータによると全体の52%がリサイクルされており、45%が中間処理などで減量化されて、残り2%が最終処分されています。

産業廃棄物はバブル経済の崩壊後は横ばい状態で、「増えてもいないが減ってもいない」現状になっており、今後の地球温暖化における大きな課題になってくると考えられています。

私たちの暮らしでは、「大量生産」「大量消費」「大量廃棄」の3つで便利で快適な暮らしになりましたが、その一方で環境には大きな負担をかけてしまっています。

例えば、気象庁によると観測点における大気中の二酸化炭素濃度が、工業化以前の1750年の平均的な値とされる約178ppmと比べて、現代では50%も増加しています。

また二酸化炭素以外にも、木材や石油は将来的に不足することが懸念されていて、さらには廃プラスチックが海に投棄されることで、波などで細かく砕かれたマイクロプラスチックを飲み込んだ魚が、私たちの食卓に並ぶようになります。

最後に、廃棄物の中でも、再利用や再資源化がむずかしい廃棄物は埋め立てる最終処分場で処理しますが、将来的にはこの最終処分場は寿命を迎えて使えなくなってしまいます。

産業廃棄物をリサイクルする3つの方法

自然環境への負担を減らすこと、そして着実に寿命が迫る最終処理場をなるべく利用しないためには、産業廃棄物のリサイクルが必須課題となっています。

産業廃棄物をリサイクルするためには、以下の3つの方法があります。
① マテリアルリサイクル
② ケミカルリサイクル
③ サーマルリサイクル

①マテリアルリサイクルは、材料リサイクル、材料再生、再資源化、再生利用とも呼ばれていて、産業廃棄物を製品原料として再利用することができる方法です。

②ケミカルリサイクルは、化学的な処理を施して古いプラスチックを原料として加工し、再利用する方法です。原料、モノマー化や高炉原料化、コークス炉化学原料化、ガス化、油化などが例としてあがります。

③サーマルリサイクルは、産業廃棄物を焼却した際に生じるエネルギーを再利用する方法で、焼却エネルギーを利用した発電が主なリサイクルの手法になっています。

今後はいかにして産業廃棄物を含めた廃棄物をリサイクルできるかが課題になっています。

【参照】廃棄物処理制度専門委員会報告書|環境省
【参照】大気中の二酸化炭素濃度の経年変化|環境省
【参照】廃棄物処理施設整備計画|環境省


マツダ株式会社では,廃棄物に関わる課題について解決致します!
「“捨てる”をなくす」という経営理念のもとに,まずは有価物にすることを軸に考えることにより廃棄物の処理コストの削減を目指します!